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京子の旅日記(9月23日)

2009年9月23日(水)萩京子

8時45分、ホテルのロビーに集合。
オペレッタ劇場は歩いて10分の距離。
衣裳や小道具の入っているトランクを皆でゴロゴロと運ぶ。
舞台に集合し、通訳さん、劇場の舞台責任者の方やスタッフの皆さんにご挨拶。
その後、舞台、照明、楽屋に分かれて仕込みに突入する。

舞台は変型。かつ、せりだの盆だのいろいろあって、そのすき間がすごくあいている。
段差もある。
『変身』はキャスター付きのドア枠を役者が動かして場面を変えていくつくりなので、ドア枠がスムーズに動かないと大変なことになる。
舞台の床が凸凹しているということは、とても困ることになる。
とにかく、その舞台床全体に黒のリノリウムを敷き詰める。

さてピアノだが、ベーゼンドルファーがあることはわかっているのだが、舞台上にはすごく古いPRTROFというチェコ製のピアノのフルコンが置いてある。
カフカのオペラだから?
しかしこのピアノはかなりの年代もので、音もビヨーンという感じ。
ベーゼンはどこ?
と騒ぎ立てると、舞台奥の様々のものに囲まれてとても容易にはたどり着けないような場所にしまい込まれていた。
購入して一年半くらいで、まだ5~6回しか使っていないという。
日本のどこやらのホールのようだ。
12時半ころ、やっとひっぱり出して舞台上におさまる。

さて仕込みはこんにゃく座側日本人スタッフと劇場側入り乱れて進んでいく。
日本語とルーマニア語が飛び交う。
ときおり照明プランナーの成瀬さんがイタリア語で叫んでいる。
13時半ごろからピアノの調律が始まるが、舞台上ではテーブルの直しのため、電気ノコギリがキーンといっている。

岡原たちは現地調達の小道具の買い物に出かける。
一番苦労した買い物はブリキのバケツ。
もはやブカレストでブリキのバケツを手に入れることは難しく、挙げ句の果てはどこやらの商店で使っていたもの(かなり使いこまれた代物)をゆずってもらうことにする。
プラスチックのバケツを買って交換してもらう。

午後5時くらいから宣伝のために路上で演奏する。
といっても酒井、佐藤敏之、佐藤久司の三人は、仕込みにつかまっているので、残りのメンバーで。
レパートリーは「岩手軽便鉄道の一月」「夢の番人」「35億年のサーカス」「十二月の歌」「雨の音楽」の5曲。
劇場前、公園の噴水の前、デパートの前等、自動車のクラクションの音にもめげず歌う。
道行く人は足を止めてくれ、こちらが配るチラシもニコニコと受け取ってくれる。
コーディネーターの志賀さんが「日本から来たオペラシアターこんにゃく座です。オペレッタ劇場で公演します。見に来てください!」とルーマニア語で口上を述べる。
約1時間路上で歌い、配るチラシもなくなり劇場にもどる。

仕込みはさらに続く。
21時半まで。


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