2009年10月6日(火)萩京子
ウィーン公演2日目。
開演は20時なので、今日は半日フリータイム。
王宮ツアー。
美術史美術館ツアー。
マーラーのお墓ならびにベートーヴェン縁の場所ツアー。
モーツアルトがフィガロを作曲した家ツアー。
などなど。
それぞれ好き好きに動くが、そこかしこで出会ってしまう(笑)。
16時15分ホテルからチャーターバスで劇場へ。
今日は、東京での一ヶ月の稽古を見学し、俳優座公演のお手伝いもしてくれた芸大大学院生の生田美由紀ちゃんが現れた。
本当はサプライズで登場しょうと思っていたらしいのだが、彼女がウィーンに来ることはすでにすっかりみんなに知れ渡っていた。
彼女は私たちの旅のコースとは逆、プラハ→ウィーン→ブダペストと旅行してオペラを見て回っている。
俳優座公演のときは、照明のキュー出しという仕事を引き受けていたので、客席から見るのは今日が初めて、ということになる。
「おもしろい!東京のころよりすごくテンポがよくなっている!」と言う。
「変身」は東京→水戸→ブカレスト→ブダペストと経て、ますます密度の濃い舞台になってきている。
旅が作品を成長させ、歌役者ひとりひとりを成長させているのだと思う。
今日も観客の反応はすばらしい。
ブラボーが出た。
終演後、ロビーでは昨日と同じようにワインなどが出され、すぐに帰りたくない人は舞台の余韻にひたったり、出演者と語り合ったりする。
これはとてもいいことだと思った。
日本ではほとんどの場合、劇場を出なくてはならない時間が決まっているので、終演するやいなや、お客様には帰っていただかなくてはならないし、出演者はさっさとメイクを落として着替えて劇場を出なくてはならない。
劇場で見知らぬ観客と接することは、とても刺激的だ。
みんな必死の英語で観客とコミュニケーションしている。
今日でウィーン公演は終わりなので、バラシ、パッキング、積み込みがある。
何人かのお客様はバラシまでのぞいていた。
そのひとりは、私たちの街頭演奏を聴いてチケットを申し込んできてくれた人で、CDまで買ってくれた。
もうひとりはギムナジウムの先生をしているという女性で、「ウィーンでやっているものはまったくつまらない、今日の舞台はとてもすばらしい。たまたまラジオで情報を得て見に来ることができた。もっと宣伝しないとだめよ。子供たちにも見せたい。」と言ってくれた。そしてとても大切なものだと思うのだが、カバンの中からロザリオを出して、私にくれたのである。
観客の熱い思いにふれると、勇気を得る。
カフカをヨーロッパに持ってくることに、まったく不安がなかったと言えば嘘になる。
だが、「カフカをよくぞこのように、おもしろく舞台化してくれた。」というたくさんの声を聞いた。
「すべてがよくわかる。」とも言われた。
カフカが書いたドイツ語の国で、熱烈に受け入れられたことが、とてもうれしい。
バラシも後半になると、劇場スタッフが客席を解体し始める。
劇場スタッフはアルゼンチンの人とキューバの人だったので、彼らの景気づけに、だと思うが、すごいボリュームでラテンの音楽がかかった(笑)。
深夜0時をまわるころだった。
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