10月20日より旅公演がはじまります、オペラ『イヌの仇討あるいは吉良の決断』。
ツアーメンバーを自己紹介でお知らせいたします。
吉良上野介義央
大石哲史
吉良上野介義央は小さいじぶんから天敵なのです。京都の山科の生家から、1キロほど北に大石神社があります。大石内蔵助が、討ち入りする気などはございませんと、隠れ住んでいた庵が祀ってあります。毎年12/14は、義士祭がその神社でとり行われて学校は半ドンです。そんな大石内蔵助と関係の深い?私大石哲史が憎っくき吉良上野介になって、このオペラの中で、27回も[おおいしー!]と声を荒げます。尾も白い!
清水一学
(上野介付近習)
島田大翼
清水一学は吉良さまお付きの武士です。二刀流の達人ということで、劇中では一学だけが大小2本の刀を差していますね。そもそも武家諸法度でそうなってはおるのですが。役の性格としては3人侍のリーダー的存在で、普段は比較的冷静なのですが、屁理屈を聞かされ続けるとアレルギーで躰が痒くなって耐えられず刀を抜いてしまったりします。辞世の句で蕎麦じゃなくて麦を蒔きたい的な台詞がありますが、これはアレルギーだからではありません。
大須賀治部右衛門
(上野介付近習)
大久保哲
大須賀治部右衛門は、主君・吉良上野介義央を護衛する、近習三人衆の一人です。一学や平左に比べて血気が多く、逸ったところを一学やお三さまに制される場面が多い点を始めとし、非常にシンパシーを感じており、まるで僕そのものであるような気がしています。
不意の討ち入りの中、必死で殿を背負って味噌蔵にたどり着き、おイヌ様や盗人の新助、赤穂の策略に翻弄されながらも殿のお傍を固め、最後には殿とともに死武者として討って出る。
往生際の二時間半の喜怒哀楽は、世間で語られる機会は多くありませんが、確かに存在したのです。
愛するおしのと幸せに余生を過ごすことはなかったけれども、それでも必死で生き抜いた治部右衛門の姿を、全力で演じ抜きたいと思います!
榊原平左衛門
(上野介付近習)
富山直人
榊原平左衛門は近習(きんじゅう)です。殿のおそばにいて殿をお守りする役目なのですが、殿に守られているのではないか、という感覚になる時があります。
年齢は私の実年齢と同じくらい。
半世紀も生きてくると、身体のあちこちにガタが来ます。平左衛門もきっとそうだったと思います。
そんな事も忘れて約2時間、密室の中で皆と過ごします。
この時ほど生について考え実感した事はなかったのだろう、と思います。
その中には小さな小さな喜びもあります。
不自由な空間の中で何を見て何を聞き何を考え何を感じるか。
愚直に精一杯、殿のおそばでお仕えしたいと思います。
牧野春斎
(上野介付坊主)
沖まどか
牧野春斎は吉良邸で殿の元で働く小坊主。
若干15歳の春斎は愛する殿と、大好きな皆さんのため、一生懸命、差し入れを持ってきてみたり、赤穂の様子を伝えにきたり、とにかく一生懸命働きます。なんだかミスリードをしているような、皆さんを惑わしているような気もしますが、とにかく一生懸命なんです。
史実によると間違って刺されてしまうとか、うっかり殺されてしまった…というようなことを言われている。いや本当に凄まじく怖かったでしょうに、その勇気、感服します。私、沖まどかも色んなことに勇気を持って立ち向かっていきたいと思います!!!
お三さま
(上野介付女中頭)
岡原真弓
お三は吉良家の女中頭です。この作品を座が初めて公演した時は吉良のめかけのお吟を演じていました。お吟からの目線とお三からの目線は随分違います。この戯曲が言いたいことがお三が1番わかっていなければならない役だなあと、今回つくづく思いました。旅に向けて研ぎ澄ました、お上への挑戦!お楽しみ下さいませ。
おしの
(お犬さま付女中)
熊谷みさと
おしのはお犬さま付女中です。犬の世話をしていただけなのに一夜にしてあんなことに巻き込まれて大パニックですが、生きるという覚悟をはっきりと持ってひっそりと心細さと闘っているところが私は好きです。熊谷も生きる逞しさだけは忘れずに、精一杯この夜を闘っていきたいと思います。
おしん
(お犬さま付女中)
齊藤路都
おしんは吉良家女中、お犬さま付。
お犬さまの寝ずの番をしているときに討ち入りが始まって、「マジで?!……ウソでしょ?!」の連続でした。
驚きと恐怖のなかで、何が正しいのかを考え、決断した方向へ顔を上げて進むことを決意しました。
あの隠し物置の一晩は、おしんにとっても、やはり大きなターニングポイントだったと思うのです。
お吟さま
(上野介付行火)
山本伸子
お吟は上野介付行火。妾でございます。ご隠居さまに生きていただきたい、あらゆる手立てを尽くしてお守りいたします。ところがお三さまはお家の名誉だなんだのと仰います。人はなにを心の真ん中において生きるのでしょう。
お吟はそのたたずまいからも愛と生命力溢れた女性であるよう山本もがんばります。
砥石小僧新助
(盗ッ人)
佐藤敏之
砥石小僧新助はめっぽう気っ風の良い江戸っ子庶民です。
情に厚くて涙もろい、そしてハッキリ物を言う。上野介にでさえも。
長いものには巻かれまくっている自分とは正反対の人物です。
そんな新助を舞台の上で生きるのは本当に楽しくて気持ちいい!
黒衣甲
吉田進也
黒子甲は、いつの間にか舞台に控えている。そして様々な道具を素早く出現させ回収する。ときに相棒の黒子乙と華麗なコンビネーションを披露する。其の疾きこと風の如く、徐なること林の如し、動かざること山の如し……。そして黒子甲は、侵略する火の如く吉良邸に討ち入りする赤穂浪士たちを操る。
ところで井上ひさし先生が書いた『イヌの仇討』原作によると、私が操るのは以下の人物である。間十次郎光興(25)、赤埴源蔵重賢(34)、大高源吾忠雄(31)、武林唯七隆重(31)、茅野和助常成(36)、横川勘平宗利(36)。ちなみに黒子甲を演じる吉田は32歳、赤穂浪士たちと近しい年齢である。もし大切な主君を失ったとしても、現代に生きる自分は果たして、罰せられると判っていながら討ち入りするだけの強い意志を持てるだろうか?
黒衣乙
泉篤史
黒衣乙は、まさしくこのオペラの黒衣です。改めて言わせていただくと、黒子ではありません。正しくは黒衣(くろご)なのです。黒衣と言うと、気配を消して裏方に徹する、と言うイメージがあるかと思いますが、『犬の仇討ち』の黒衣はそれに加え、物語の舞台となる隠し物置きの外の世界すべてを表現し、オペラ全体を黒衣の手で作り上げている…と、おこがましいにも程がありますが(笑)それくらいの意気込みで僕は望んでおります。またこの世界に戻って来られた幸せを噛み締めながら、スーパー黒衣、精一杯やらせていただきます!
バイオリン
山田百子
この作品のヴァイオリンは、冒頭からピアノと共に大石たちが吉良家に踏み込む様子や、犬の鳴き声、刀の鋭さなどを表して、とてもわかりやすく聞こえます。一方で登場人物の心の揺らぎに寄り添ったり、喧嘩に加勢したり、会話に応えたり、言葉はなくとも楽器でいろいろな役を演じられるのがオペラの醍醐味。作曲家の林光さんが書いて下さった変幻自在なヴァイオリンの音色も、最後の最後までどうかお聞き逃しなく!
ピアノ
寺嶋陸也
この作品のピアノは、ヴァイオリンとともにオペラを支えるオーケストラです。オペラでは、台詞が歌になっていることで登場人物の心理状態がより深く複雑に描かれていますが、歌を支え、注釈し、同時に歌っていない人物の心理をも描いてゆくのがオーケストラの役割です。また場外の様子を具体的に表現するところも少なくありません。吉良たちが眺める星を描写する音楽は特に美しく作曲されていて、討ち入りを表す冒頭の激しい音楽とともに、オーケストラの聴かせどころとなっています。
舞台部(黒衣丙)
壹岐隆邦
この作品の舞台部は、衣装があります。すなわち、舞台上に登場します。いきなり、冒頭から出て来ます。さらには、歌だって歌います。
でもそれはほんの1%くらいで、あとは幕の隙間から舞台を見守っています。
なにはともあれ初めてツアーに出るこの作品、知恵と工夫をこらしてより良い舞台を作り上げられたらなあ、と思っています。
舞台部(黒衣丁)
鈴木あかね
この作品の舞台部は、黒衣の一員として衣装を着けて、時折出演しています。普段はスポットの当たることはない裏方ですが、今回は歌までいただきまして、ますます張り切っております。もちろん、舞台裏でもあれやこれやと舞台が円滑に進むように働いています。緊迫の一晩を、メンバーの一員となって過ごせることを楽しんで、最後まで頑張ります!
制作マネージャー/演出助手
西田玲子
この作品の制作マネージャーは、みんなの事をただ遠くから見守るのみ。お茶を作ったりお弁当の用意をしたりしながらとにかく旅がスムーズに進むことを願っております。
制作
土居麦
この作品の制作は近畿域主催付場内見廻役。
イヌの仇討旅公演は十八年ぶり。前回制作見習役で同行し、オペラとは、旅公演とはの何たるかを肌身を持って感じた日々が甦っています。
今回巡る先が長く暮らしていた近畿の土地ならその想いも相まって。
オペラ『イヌの仇討あるいは吉良の決断』、以上のメンバーでお届けいたします。
どうぞよろしくお願いいたします!!
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