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『そしてみんなうそをついた』稽古場日誌 8月19日(高野うるお)

 昨日の帰り我が家に付く直前突然我が車のエンジンルームからバタタバタタと音がし始めた。駐車場でボンネットを開けてみると、ファンベルトがサキイカ状態になっていた。明くる日部品屋で新しいベルトを買い、稽古場へ行き稽古終了後倉庫で付け替えた。
 っと書くといとも簡単なように聞こえるが、ものすごく大変だった。何たって緩めるべきボルトががっちり固着して動きゃしない、車の下に潜り込んだり、上からエンジンルームに手を突っ込んだりしたがうまくいかない。あの手この手で30分ほど格闘したがやはり動かない。
「もうだめかも・・・」目覚まし時計をバラバラにしてしまって元に戻せなくなってしまった子供のように、我が愛車とは思えぬ姿になってしまっているこの機械を前に途方に暮れてしまった。
 呆然と車の下に潜り込んだままにしていると、「ロープをレンチにかけてまわしたら?」と天から声が・・・いいえ上から覗き込んでいる、座の仕事をしていた富やんの声がした。「そうねやってみよう」トラックロープと呼ばれる丈夫なロープをスパナに結び、同じく座の仕事をしていた大ちゃんと一緒に引っ張ってくれた「ほないくでー、せーの」クイッ「おーーーーーーーーーー動いたーーーー」しかも簡単に!持つべきものはそばにいる知り合い、、、、である。
 ここまでくれば後は簡単。ぼろぼろのベルトを新しいものに付け替え、緩めたものを締め付けて、その他の部品もつけて、おしまい。
 あくせくしている時に見かねた春枝氏が恵んでくれたオレンジ味炭酸飲料水を飲み干し、「押してだめなら引いてみな」という言葉を頭に浮かべながら、新車に乗っている気分で家路についたのだった。

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