京子の旅日記(9月28日)

2009年9月28日(月)萩京子

メルリン劇場での仕込み。
朝8時20分にホテルのロビーに集合。
コンテナーを牽引したチャーターバスで劇場に乗り付ける。
劇場の入り口がたいへん狭いので、曲がりきれない。
コンテナーを外して、人力で押していくことにする。




劇場のすぐ横があろうことが消防署だったので、「こんなところに大型バスを駐車するな」というようなことをハンガリー語で言われ、われらが運転手のバリさんは「ここに搬入するのだからしかたがない」とか「すぐどけるからゴチャゴチャ言うな」というようなことをルーマニア語で叫び・・・、ということが繰り広げられ、やっとのことコンテナーは劇場の敷地内に収まった。
そんななかおもしろいことがあった。
バスの中から劇場入り口にいる通訳さんを見つけた岡原が「おお!すっごい美人!」と叫んだ。
すると、バスの中の男たち(座員、スタッフ、楽士)が一斉に立ち上がってざわめいたのである。
男はみんなこうしたものってことですね。

さて、そんな楽しいエピソードはあったものの、その後は劇場入りの初日はすべてこうなるのか、と思われる緊迫した場面の連続である。
照明機材の台数がもらっていた情報と違っていて、全く足りない。
照明スタッフの人数は確保できているのだが、同じ人が連続で来てくれないと困る、ということが伝わっていなかった、などなど。

ひとつひとつ、ゆっくりと解決していくしかない。

さて、楽屋には全自動洗濯機があったので個人の洗濯物も洗濯できた。
ヨーロッパにはコインランドリーというものが見つからないので、楽屋に洗濯機があるととてもありがたいのである。

夕方からは宣伝のための街頭演奏をする。
今日は楽士さんたちにも加わってもらうことになった。
ということは、クラリネット、ファゴット、ヴァイオリン入りにアレンジしなければならない。
というわけで、ブカレストでアレンジを済ませていた「夢の番人」「雨の音楽」に加えて、「35億年のサーカス」「岩手軽便鉄道の一月」「十二月の歌」を特急仕上げで編曲する。
強力な器楽奏者の参加で、路上の演奏はとても厚みが出て、アピール度を増した。
きれいな街並みは、立ち止まって演奏したくなく場所がたくさんあって困るほど。
事前にロケハンをして、おおよその場所を決めておいた。
そして17時から器楽練習をして、18時出発。



演奏していると、道行く人はどんどん立ち止まってくれて、すぐに人だかりができる。
踊り出す人もいる。
曲と曲も合間に、通訳兼コーディネーターの桑名さんが口上を述べる。
石造りの建物の合間の道々は、声も楽器も良く響き、とても気分が良い。
ヴァーツィー通りからヴェルシュマルティー広場まで、5ヶ所ほどで演奏、19時半くらいまでやって終了。
ドナウ川の夜景を見ながら、劇場に帰る。
川向こうに王宮が見える。
ライトアップされていてとてもきれいだ。
川の向こうがブダ。川のこちらがペストである。

劇場では大変な仕込みが続いている。


0 件のコメント: