オペラ『あん』稽古場日誌(11月30日〜12月5日):熊谷みさと

オペラ『あん』、初旅公演に向けて稽古が進んでいます。
昨年2月の初演のことを懐かしく鮮明に思い出しつつ、また新たなるステージへ進むためみんなで格闘しています。

演出の上村さんの頭の回転は更にスピードアップしている上になんだかいっそう面白く、辛辣なのに和やかな雰囲気も纏っていてとても楽しい毎日です。
稽古の途中で突然、
「餃子に酢胡椒って美味しいですよね。あれ、胡椒じゃなくて生クリームも合うって知ってますか?酢生クリーム」
とおっしゃるので心からびっくりしていたら、
「その表情でお願いします」
と、びっくりした表情を引き出すためのフィクションだったりして、何この話!なんでこんなスラスラ出てくるの!?すご!!と更にびっくりしたりしてしまったものです。

細かい立ち位置や動きはもちろん、表情や言葉のニュアンス、手の使い方などとても丁寧に見てくださり、学びに満ちた日々。幸せです。


しかも頻繁に美味しいものを持ってきてくださるのでみんなほくほく顔!
頭を働かせた後に甘いもの、染み渡ります、、
いつもありがとうございます!!


稽古の後半戦はクラリネットの橋爪さんもいらっしゃり、音楽もみちみちてきました。


五味さんと橋爪さんは初演ではなかった組み合わせですが、なんだか妙に安心して嬉しくなります。


大歓迎のパチパチ中学生たち

そしてこの旅の後半では作曲の寺嶋さんもピアノを弾いてくださいます。
ドキドキわくわくです!!


私は『あん』という作品を創っていると、ぎゅーっと心臓を掴まれたりもするけれど、どこか胸の奥に絶対的肯定感というか、自分自身がここにいることを認めてもらえるような仄かな温かさがいつもほっこりある気がします。
それがなんとも心地よくて嬉しくて、毎日めちゃくちゃ元気に稽古場へ向かう日々です。
キラキラした音楽と、ほんわか徳江さんの相乗効果もあるのかな、、!



ある日稽古場に突如現れたロウリュの人
心は元気でも空気は寒くて乾燥していますからね、病気にならないために濡らしたタオルを振り回すという独特な方法で加湿してくれていた千太郎さんでした。
激し楽しです!


稽古の合間には各部の作業もぐいぐい進みます。
初旅というのは、物量や機構など初演のままでは旅をすることが難しいものたちをどんどん整えていかねばなりませんから、たくさんの工夫が必要になります。


パネルに集ってなにやら相談したり


可愛い子が色塗りをしたり


お兄さんが水を撒いたり…?


これは…盆栽屋さん…??

照明部も旅のために丁寧に荷出ししたりしました。
(作業に夢中で写真撮るの忘れた、、)



花びらを前に真剣な熊谷
劇中で花紙の花びらを持つところがあるのですが、熊谷の手汗といったら尋常ではなくそれはもう時として掌から滴り落ちるほどのものでして、紙の花弁を濡らさず素手で持っているのは至難の業なのです。
初演の頃、考えた末にキッチンペーパーを一回り大きい同じ形に切り、それで挟んでおくことにしました。

するとキッチンペーパーの花弁だけ手にくっついて残り、ピンクのお花紙は濡らさず宙に舞わせることに成功!
それを思い出して新たなるキッチンペーパー花弁を作っているところでした。
薄い紙を手に持たねばならないのに手汗が…とお悩みの方はぜひお試しください!!
という需要なき供給、、


そんなこんなでこんにゃく座での稽古もおわり、トラックに荷物を詰め込んで、まずは仕込みとゲネプロをするためにキラリ☆ふじみへと旅立ちます。

オペラ『あん』初ツアーは、12月10日徳島県、17日神奈川県、23日広島県、24日島根県、26日福岡県で一般公演があります。
https://konnyakuza-news.blogspot.com/2023/08/202312an.html
みなさまに愛していただける作品になるよう、力を合わせて大切に温めて参ります。
ぜひぜひ、この機会にご覧くださいませ!



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