ピノッキオの現場から:萩京子

5月13日(日)

マレーシア公演二日目にして最終日。
始まったと思ったら、すぐに終わりのときがきてしまう。
ことばにしても、劇場にしても、慣れたころには、さようなら。
そして、高野、島田、忠地、という応援隊も、この公演が終わったらいなくなってしまうのです。寂しい!

午後3時開演。
日曜日の昼ということで、子供がたくさん来ている。
マレーシアでの3回の公演は、それぞれ客層が微妙に違っていて、ことばに対する反応も違う。
昨日の夜は、マレー語が受けることもさることながら、日本語学校の生徒がたくさん来てくれていたので、日本語に対する反応もすごくて、客席が沸き立っていた。
今日の観客は、あとから聞いてわかったことだが、マレー語を理解する観客が少なかったそうで、マレー語でセリフを言えばすべて大受け、ということにはならなかったが、それでもじっくりと楽しんでくれて、あたたかい拍手をもらうことができた。
ひとりの役者が次々といろいろな役に変わっていく、という仕掛けを楽しんでもらえたと思う。
人形芝居の親方がネコに変わるところ、親方のヒゲがキツネのシッポになることとか、馭者が早変わりで太鼓つくりに変わるところなど、「なるほど、そういうことか・・・」という感じで受けている。
ところで今日の一番の驚きは、開演してからものすごい音がするので、空調の音
こんなにうるさいのか・・・と思ったりしていたが、どうも雨と雷の音なのである。ショッピングセンターの3階(最上階ではなく)で、しかもしっかりしたビルなのに、まるで雨の日の体育館公演のような状態。
終演後のロビーでは、サインを求められたり、写真を撮られたり、大にぎわい。
オカハラがぼやくには、ピノッキオ役の井村クンが人気があるのはよいとしても、なんだか若くてかわゆいさとみちゃんが人気ものなのである。井村クンとさとみに写真のリクエストが多いことに対して、「どういうこと!?」と、怒っている。
オカハラは、ピノッキオをさんざんいじめる役をいくつもやっているのだから、憎まれ役なのだから仕方ないよね!
悪役冥利につきる、ということでしょう(笑)

さて、バラシと荷造り。
それほど時間はかからない。
オカハラ、ダイスケはホテルにもどって洗濯。
18時から現地のスタッフと一緒に打ち上げ。
前回のゴーシュ公演でお世話になった舞台の責任者のミンジンさんも来て、乾杯!「バリバリ元気」というような変な日本語を言う人です。
その後、飲み足りない、食べ足りないメンバーで二次会へ。
基金の島田さんも、二次会のことを「では、レインボーパーティーへ」とか言い
始める。罰金もののだじゃれです。
旅の初日に行った屋台街の店へ。
雨が降っているので、店内へ。
話はつきないものの、国内の打ち上げでは考えられないくらい早い時刻におひらき。
ひとつめの国の公演が無事終了したことで、みんながうれしく、ほっとした楽しいひとときでした。

5月14日(月)

日本に帰国する高野、島田、忠地の3名は午前8時15分ホテル出発。
(この3人、AB型なのです。)
寝ぼけた顔ではあるが、がんばって見送りに行く。
うるうるが、いろいろな食べ物を置いて行ってくれる。
カテキン入りの緑茶の粉とか。
これはありがたい!
そして、総勢8名となった本隊は11時に出発。
空港までの車内で、次回は・・・!などと話が盛り上がっている。
お世話になった基金の島田さんとも、空港でお別れ。
一路インドネシア・ジャカルタへ!
マレーシア航空。
このフライトは、飛行機が小さいので、荷物の重量の心配があったが、無事通過。
歌役者たちはインドネシア語の勉強に余念がない。
さて、機内食のとき、ビールを注文したら、なかなか持ってきてくれず、食事が終わってから、小さなカップ一杯のビールをくれました(!)
「オー!ア・カップ・オブ・ビアー!」と、思わず叫びました!

ジャカルタ着。
マレーシアとの時差は1時間。時計を1時間戻す。日本との時差は2時間。
こんなふうにどんどん時間を後ろに戻していくと、得をするのかな?
作曲の締め切りのときは、時間を戻したいですね~!
ジャカルタは曇り空。
あまり暑くない。
基金の塚本さんと熊谷さんが迎えに来てくれている。
車3台で、まずホテルに行き、チェックインしてから、劇場へ。
TIMのテアトル・クチール。
2001年の「ロボット」公演の時は、TIMの大きい劇場だった。
2003年の「ゴーシュ」の時は、ジャカルタ芸術劇場というクラシックな劇場。
そして、今回はTIM内の新しい小さな劇場、2001年の時は建設中だったものだ。
荷下ろし。
そうそう、飛行機の移動で、荷物のひとつ、ドンゴロスを包み込む特製ビニールシート袋が破れていた。
空港内で、中身をチェック。
なくなっているものはなさそうだ。
劇場では、壊れていないがどうかチェック。
一応大丈夫そうである。

テアトルクチールは小さいながら、とても劇場らしいつくりになっている。
客席は2階まで。
サイド席は舞台ぎりぎりとところまであって、舞台裏を覗きこむことができる。
ピアノの譜面台に乗せている譜面を読むことができるような感じ。
舞台がとても高く、1メートル20センチくらいかな。
オーケストラボックスのような空間があり、それはどうもガムランの演奏のための空間らしい。

さて、一同はジャカルタにたどり着いたことをお祝いして、夕食会へ。
毎日なにかと理由をつけて乾杯しているのです!
基金の二人を加えて総勢10名。
ひとつのテーブルを囲む。
火鍋というものを注文し、皆の好きな具を次々と注文。
鍋の真ん中で、辛いダシと辛くないダシに分かれている。
私はもっぱら辛いダシの方で食べました。
辛くて暑くて咳き込みながら、涙をながしながら・・・。
おいしいものを食べると、とても元気になり、がんばろう!という気力がみなぎってきます。
私だけではないですよ。みんなそうです。
全員、今のところ、とても元気です。
明日は、場当たりしてから、夜ゲネプロあ
ホテルに戻って、かろうじておフロに入り、あっという間に寝てしまいました。

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