ピノッキオの現場から:萩京子

5月27日(日)

ウドンタニ公演。昼夜2回。タイ最後の公演である。
ウドンタニ・ラチャパット大学の講堂。

一昨日の公演場所は、ナコン・ラチャシーマーのラチャパット大学だった。ラチャパット大学、というのは、国立の、国王の大学・・・というような意味である、とお聞きした。
ここの大学構内はとても広い。その中のひとつの平屋の建物が講堂である。
8階でなくてよかった!
明日が入学式ということで、黄色と白の幕が舞台に張ってある。土日は、社会人のための大学となっているそうだ。

今日の会場は冷房がよくきいている。が、すさまじい音である。しかし、とても消そう、という気持ちににはなれない!
照明器材が少々あったので、照明づくりに2時間くらいかかる。(一昨日と昨日は、蛍光灯の明かりの中でやった。)
今日の公演は大学がサポートしてくれているので、、大学生が見るかと思ったら、そうではなくて、観客はまったく一般のおとなと子どもだった。ここの土地では、演劇公演もほとんどなく、外国から来た団体の公演など、初めてのことだそうだ。だから、演劇を見るのが初めてという人が、ほとんどだという。

観客は自然体で、リズムに乗ってくれたり、笑ってくれたり、タイ語のセリフに対しては、復唱してくれたり(!)、『ピノッキオ』という作品を大いに楽しんでもらえたと思う。
「日本から来たオペラ劇団」ということはもちろん承知したうえで、そういう枠組みより、いまここでおこなわれていることを、丸ごと受け入れて楽しんでくれている、と感じた。
私たちも、このタイ東北ツアーを通じて、海外公演という気負いがどんどんなくなっていった。全身で表現することによって、『ピノッキオ』というオペラを観客とともに楽しむことができるようになっていった。私たちも作品も、少しづつ成長しているように思う。

ナコン・ラチャシーマー→コーンケン→ウドンタニ、と3カ所行動を共にしたピアノ(ヤマハのC3)、調律師さん、ピアノ運搬の方たちとも、ここでお別れである。
ピアノと共に旅をするなんて、初めての経験だった。
目黒で修行したことのあるという調律師さんと、ピアノの前で記念撮影する。(私だけです!)ピアノくんも、毎日脚をはずされ、車に揺られ、ご苦労さまでした!

さて、道具、衣裳等のパッキングは、飛行機に乗るときのような、梱包の気の使い方はしなくてよいが、明日は国境を越えるので、5つのドンゴロスの袋に何が入っているか、リストに合わせてきちんと入れる。
パッキング終了後、舞台袖で、基金の内田さんが買ってきてくれたビールで乾杯!それから、大学側がセットしてくれた夕食会。その夕食会にはビールはない、という情報だったのだが、私たち一行がビールが大好き、というウワサが伝わっていて(!)、用意してくださったようだ。なんという幸せ!

タイでの公演は全部で5ステージ。
今日の夜の回が一番よかった、と内田さんが言ってくださった。タイ語もどんどん上手になってきた、とのことである。そのタイ語も今日でおしまい。
残るはラオス。
ラオ語ですよ!

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