京子の旅日記(10月8日)

2009年10月8日(木)萩京子

10時からプラハのアルフレッド劇場の仕込み。
楽屋がとても狭いので、お客様用のラウンジスペースがお茶場となる。
楽屋部は劇場事務所で洗濯機を借りて、お洗濯など。
建物の中庭に干す。
生活感が溢れる。



10月6日と7日の日記を書こうとするが、落ち着かず書き進めることができない。
午後、大石さんと街頭演奏の場所の下見に出かけることにする。
トラムで、カレル橋近くまで行く。
そしてまずカフカ博物館をちょっとのぞいたら、小村さんにばったり会った。
元さんへのおみやげにカフカのTシャツを買う。
カレル橋を渡る。
大々的に修復工事をしているので、ちょっと残念だ。
ウィーンも工事だらけだった。
ウィーンやプラハの街も変わっていくのだろう。

旧市街広場を中心に演奏する場所を決めていく。
みんなのためのトラムのチケットも買った。
たくさん歩いた。
石畳を歩くのは楽しいが、足が疲れる。

トラムに乗って劇場に戻る。
17時に出発しようとするが、雲行きがあやしい。
少しポツリポツリと降ってくる。
雨が降ってしまったら、街頭演奏はできない。
「やんでくれ~!」と願う。
今日は照明スタッフに加わっている佐藤敏之、佐藤久司も街頭演奏に参加できることとなった。
ウィーンで、「あのふたりも街頭演奏に参加させたい。せめて最後のプラハだけでも」と、照明プランナーにお願いした。
照明の仕込みは各国とても大変で、このアルフレッド劇場もご他聞にもれず大変な様子ではあったが、二人に街頭演奏をさせたいという願いを今日は実現させてくださったのである。成瀬さん、ありがとう。



舞台スタッフの酒井については、18時になったら抜けてもいいよと凡平さんが言ってくれたので、まず、この劇場の近場で地元の人々に向けて演奏して、あらためて18時にトラムに乗って市街地に繰り出すときに酒井くんを迎えに来ることにした。
凡平さん、ありがとう。
雨がやんだので劇場を出る。
劇場近くのトラムが交差する交差点で、5曲演奏する。
今日は運転手のバリさんが旗持ちで参加してくれている。
ごく一般の通勤の人や買い物の人がどんどん立ち止まって聞いてくれる。
用意したチラシがまたたく間になくなっていく。
制作のナナ子がチラシの追加コピーに走る。
私は劇場まで酒井くんを迎えに行く。
そのころ、雨が降り始める。
交差点に着くと、木の下などで雨を避けて、数人ずつかたまって待ってくれていた。
傘を持っているのは半分以下で、さてさてどうするか。
でもとにかく旧市街地広場へ行ってみよう、ということで17番のトラムに乗り込む。
旗を持っている人、譜面台を持っている人、楽器を持っている人などなど、あやしい日本人+チェコ人(通訳のヤンさん)+ルーマニア人(運転手のバリさん)の集団総勢20名以上。
なんとか無事トラムに乗り込む。
降りる駅のことでひともめあったが、とにかく降りて歩き始める。
そのときには、ありがたいことに雨はやんでいた。
まず、カフカ展示館の前で演奏する。
石造りの建物と石畳に声と楽器の音がよく鳴り響き、あっという間にひとだかりができる。
3曲演奏する。
演奏の合間には、ヤンさんが口上を述べる。
話しかけて来る人が多くて、ヤンさんはたいへん忙しい。
拍手や歓声もにぎやかに次の場所へ。
旧市街広場、有名な仕掛け時計のそば、ティーン聖母教会を正面に見ながら3曲演奏。
ここでもたいへん暖かな拍手をもらう。
それからまた歩いて、「ドン・ジョヴァンニ」が初演されたエステート劇場を通過し、ヴァーツラフ広場へ。
そこでまた3曲。
ここで、かけつけてくれていたヴァイオリニストの山崎千晶さんが、街頭演奏に加わる。
ダブルヴァイオリンとなった!
注目を集める度合いは、これまでの3ヶ国のなかで一番大きい。
歌う陣営も、佐藤敏之、酒井聡澄、佐藤久司の男性3名が加わって、迫力が増した。
「雨の音楽」アドリブ部分での橋爪+大石のインプロビゼーションもいよいよ盛り上がり、エンディングの久ちゃんのパフォーマンスも乗りに乗って、街頭演奏は大成功のうちに終わった。
カフカの生まれ育ったプラハの街なかで、歌うことができたことの喜び。
スタッフの皆さんは劇場で奮闘している。
感謝!

劇場に戻り、歌役者、楽士はそのまま解散。
私たちが街頭演奏に出かけた直後、照明にトラブルがあったようだ。
仕込みは10時まで続いた。



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