『夏の夜の夢』稽古場日誌(9月25日):高野うるお

昼前に いつもの通り ドアを開け 出かけていった 車に乗って・・・


 黄色信号では時折、ブレーキを踏むか、そのまま通過するか、迷うことがある。停まるとなると急ブレーキまではいかない程度に強く踏まなくてはならないし、通過するには途中で赤信号になってしまいそうだし、ある意味ちょうどいいタイミングで信号が変わることがよくあるからである。
 今回もそうであった。「踏もうかどうしようか、踏もうか、そのまま行こうか・・・やっぱ踏もう」っというタイミングで強めにブレーキを踏んだ。そのままなら別にここに記さなくても良いのだが、何とも不幸なことに後部座席に食品用コンテナに入ったカレーがしかもスープカレーのようにシャバシャバなカレーがツーッと滑ってドシャっと床に!
「うぉーーーー! なんということだー」「床がびしょびしょ!」水をまいたのではない、カレーがぶちまかれたのだ。
すぐに脇に車を止め後部座席を見てみた。が、何とも哀れに、私が日本のカレールーの中で一番のお気に入りの「家」という名のメーカーの「印度カレー」が無残な姿となっていた。
「なんで強くブレーキを踏んでしまったのか。なんでこれしきのことでこいつは床に落ちたのか。なんで蓋が開いてしまったのか。なんで床がカレーなんで、いや、なんだ。なんで、なんで、na-n-de」
目に涙を浮かべながらとりあえず固形物だけかき集め三角に折ってコレクションのように貯めていたコンビニのビニール袋を取り出しそこにいれ、稽古場までなんとか向かった。


 21時、稽古終了するやいなやすぐさま床の掃除を始めた。座席やドリンクホルダーなど外せるネジは外し、なるべく床の清掃作業をしやすくし、スプレー洗剤を吹いてはタオルでこそぐということを何度も繰り返した。1時間半ほど行ったところで体力的限界が来たので、そこまでにして、部品を戻し、そこまでしたのに全然とれないカレーの匂いをずーーーっと嗅ぎながら、「この匂いって取れないかもなー」っと思いながら帰宅した。
 ふとポストを見ると中にチラシが。見るとそれは「くるま○○館、車の内装清掃します。今ならなんと10%引き!」というものだった。
 なんというグッドタイミングでしょう。あの信号をいきなり黄色にしたのはこの業者に違いないと思わせるほどのなんというグッドタイミングでしょう。
 もしこの匂いがとれそうもなければこの館の門を叩いても良いかもしれない。
 そして再び涙を浮かべながら思うのである。このまま行けばカレーの匂いカレー臭かれーしゅう加齢臭にならないとも限らない。

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