林光歌劇場 稽古場日誌 吾輩組(1月28日):大石哲史

今日は自主稽古。オペラもいよいよ終わるという箇所「俳劇」の場面を稽古した。ここでも水島寒月(佐藤)がほぼ一人で歌い続けている。つまり「自分は芝居の新機軸を考えた、それは俳劇というもので、ひとつの俳句を最後の決め台詞にする、というものだ。ひとつみんなでやってみようじゃないか」と意気盛んだ。苦沙弥(大石)、東風(金村)、迷亭(沢井)の仲間たちと、たまたまお酒を運んでいた苦沙弥の細君(岡原)がこの試演会に付き合わされるはめになる、という場面。
試演会が終わり、その感想に迷亭が「こんなんじゃ駄目だ!寒月君は芝居なんぞ止めて、実験室でガラスの球を磨いているほうがいい」と悪口を浴びせて帰る、というシーンでそれを受けた佐藤の表情が血走っているのを見て、岡原が「さとちゃん、なんでそんなにむきになって怒ってんの!」佐藤答える「あんな風に歌われたらどうしてもむきになってしまうよ」それに沢井が「そんなに怒ってるつもりはないんだけどね・・・」佐藤「いや、凄く陰湿な感じがする」と。大石が割って入り「例え、陰湿な感じがしても寒月としては軽くいなせばいいんじゃない、さとちゃん」佐藤「無理です!」と、一触即発の空気になる。金村は、あの~先輩達と困ってる。大石が火に油を注ぐ「たしかにこの曲は暗くかかれてるなあ」沢井「そうなんです。普通に歌ってるつもりなんです」そこで岡原提案「暗い歌だけどさ、演出が要求してるように軽薄なイタリア男の感じでやってみようよ」沢井「えー?」大石「そうそう伴奏の音楽と全く違うように歌えば!」というわけで、場面を戻しやってみた。するとビックリ。とてもその場面の奥行きが出て、面白くなった。
これだから自主稽古はやめられないのだ。

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