アルレッキーノ組 in 福岡県福岡市『少年科学文化会館』(12月25日):大石哲史

ついに千秋楽がきた。
何度経験してもこの日の憂鬱感にはうろうろさせられる。・・・・・・・しばらく出来ないんだなあ・・・・・本番中の出番のない時、楽屋を出たり入ったり下手袖から上手袖へ無意味に行ったりきたりしてる自分がいる。そしてそのまた逆の、意気込み方ってやつも半端じゃない。そういう心理状態でうまくいくはずは・・・・ないのだ。
さあ、最後の8場だ!主人から預かった手形を思わず破いてしまうシーンがあるんだが、いつも邪念が入って(そこが見せ所だと思いすぎている自分がいる)無意識に破いてしまった!という芝居からはほど遠い手先と顔つきになっていた。ところが今日は何故かうまくいった。お客さんのギョッとする反応もいつもよりリアルだ。やれば出来るじゃないか。今日のオレは存外力が抜けているのかもしれない。このままいくと、12枚の皿受も成功するなきっと、と瞬時頭をかすめた。というのも東京公演初日に成功したあと3連敗し、広島、京都と成功したので3勝3敗できている。今日でどうしても勝ち越しておきたい。(勝ち越すのと負け越すのとではぜんぜん違う)このシーンに入る直前、久ちゃんのジャグリングから3つの果物を受け取り、幕に入って梅ちゃんにそれらを預ける2秒の間に「この力の抜け方なら必ず成功する」と確信した。案の定、1・・・2・・・3・・・4・・・5・・・6 かなりスムーズだし余裕さえある「川上哲治の言っていた、ボールが止まって見えた」なんてこんな感覚だったんだろうな
あ、と頭をよぎる。そして運命の9枚目(いつも8枚目を右手で受けて、左手に持ちかえる時に持ち損ね、9枚目を落としていた)、スムーズに8枚目の皿が左手に収まった、やったーと思ったのがいけなかったのかなあ!右手薬指がちょっと前に出てしまい、皿の端にぶつかりそいつはスローモーションのように下へ落ちていった。川上さん!落ちる時もスローモーションだったよ!

0 件のコメント: