おぐり組 in 神奈川県藤沢市『藤沢市民会館』(12月15日):田上ナナ子


撮影:壹岐隆邦

真っ黄色なイチョウの絨毯が敷き詰められた藤沢・遊行寺。
遊行寺は、小栗が地獄から復活する時に力を貸したお上人様の住んでいたところ。本堂の奥には小栗とその家来たち、そして小栗が乗りこなした馬・鬼鹿毛のお墓もあります。

そんな小栗と縁の深い土地、藤沢にある藤沢市民会館大ホールで、オペラ『おぐりとてるて』─説経節「小栗判官照手姫」より─初の学校公演となりました。今日の学校は、藤嶺藤沢学園中学校・高等学校のみなさん。

なんとこちらの学校は、
藤嶺学園の前身は時宗総本山清浄光寺(遊行寺)の僧侶養成機関「時宗宗学林」です。「時宗」は鎌倉時代、念仏と遊行に徹し、捨聖と呼ばれた一遍上人の開いたものです。(藤嶺学園藤沢中学校・高等学校公式ホームページより)
という、この藤沢の地で歴史を重ねてきた、説経節「小栗判官照手姫」とたいへん縁が深い伝統ある学校です。オペラ『おぐりとてるて』初めての学校公演としてこれほどふさわしい学校が他にあるでしょうか。

そして今回は、藤嶺学園創立100周年記念芸術鑑賞会として、学園の生徒さんや保護者の方々だけでなく、藤沢市民の方も御招待しての公演でした。



客席一杯のお客様はとても集中して鑑賞してくださいました。中学生、高校生にこのオペラがどのように届いているのかドキドキしていましたが、小栗が次々と妻を帰す「妻嫌い」のシーンや、千手観音が出て来ると笑いも起き、休憩時間には「ちょっとオモシロクね?」というイマドキ(!)の発言も聞こえてきて、楽しんでくれているんだな、と嬉しくなりました。

同じ演目でも舞台は毎日毎日かわるもの。そして今日の舞台はこの土地やお客様との縁も手伝ってか、餓鬼阿弥となって蘇った小栗が土車に乗せられ、藤沢のお上人とその弟子に引かれる場面では、これまでとは違う気迫が舞台上に満ち満ちていました。

このあとオペラ『おぐりとてるて』は、
12/19(土)岐阜、12/23(火祝)京都、12/26(土)広島、12/27(日)熊本で公演します。
どちらの公演もお席はまだございますので、お近くの方はぜひお出かけください。
奇想天外な筋書きながら最後はめでたくお話が終わる、今年一年を締めくくるのにふさわしいオペラです!

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