オペラ『イヌの仇討 あるいは吉良の決断』稽古場日誌(9月29日〜10月4日):齊藤路都


はっ!⚡
この火事装束は………赤穂の……


そんなわけで「イヌの仇討あるいは吉良の決断」の旅公演のための稽古が始まりました。

2018年の本公演(主催公演)のときと、少しだけ舞台の感じが変わりました。


演出の上村さんがいらっしゃるまでには、2日の猶予があったので
1日目は、暗譜していても楽譜を持っての音楽稽古。
[イヌの仇討]は、聴いていると、すごく面白いのどけれど、歌うのはとっても難しい。言葉も江戸時代の言葉だったり、敬語、丁寧語、謙譲語の使い分けもされています。

翌朝もAスタで、稽古しているお三さま役の岡原大先輩。


そして2日目は、本公演のときの動きを思い出しながら立ち稽古。楽譜の書き込みと、映像資料を参考にしながら稽古を進めていきました。

上村さんがいらっしゃる稽古場は緊張感もあるのに、楽しい。
初演から引き継がれる精神を、更に掘り下げて、緊張の糸がキリリと引かれ、コミカルな箇所が少し入って来て緩和が生まれ、その度に、己の体も毛穴まで閉じたり開いたりする。そんな気がしてきます。
今日稽古した二幕中盤では、松の廊下の刃傷沙汰の時に、上野介が抜刀しなかった訳が語られます。「仮名手本忠臣蔵」から永い年月をかけて、たくさんの"忠臣蔵"が上演、放映されてきましたが、そこではおそらく語られることのない吉良さまの心底です。
吉良の御家にお仕えすることが誇らしく思える瞬間です。

なんだか歴女の思いの丈をぶつけたような座日記になってしまいました。

明日はいよいよ佳境の佳境へ入っていきます。吉良家の一員として最後まで誇りを持って浅野家の家臣たちと対峙したいと思います。


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