冬木理森ソロコンサート『うたわずにおれない』(8月1日):吉田進也

8月1日、歌役者冬木理森のソロコンサートがありました!
タイトルは「うたわずにおれない 冬木理森コンサート!」
こちらがフライヤー。表のデザイン、冬木くんの似顔絵のほかに、冬木くんが今まで演じてきた役が描いてあるそうで。今年の2月公演だったオペラ『アイツは賢い女のキツネ』で演じていたコオロギのイラストもありますね。(じゃあイカは何?と聞いてみたら「富山名産のホタルイカだよ」と言っていました。)
この「うたわずにおれない」というフレーズは、まど・みちおさんの書籍『いわずにおれない』をオマージュして名付けたようです。

それでは写真で振り返りましょう!


【Ⅰ部 うたのステージ】
オペラ『ガリバー』より「歌とともに物語が始まる」

舞台セットはこんな感じ。
この記事を書いている吉田は舞台セットを見ると「あれ、後半で動いたりするのかなあ」とか色々ワクワクしてしまう人間なのですが、そういう意味でとても楽しそうなセットですよね。何が起きるのかワクワクする、冬木くんの遊び心、悪戯心がとても感じられます。

『一つぶよ』

冬木くんの衣装は特注!和田繭子さんがイラストを描いてくださいました。
植物モチーフでなんだか夏らしいデザインですね。

ピアニスト服部真理子さんも夏らしい装い!

『のびのび』

『ハナコ症候群』
『木のグリーンによせる朝の挨拶』

Ⅰ部最後の曲『とおみのうた』で、サクソフォンの笠村勇樹さんが参加します。
『とおみのうた』を作詩作曲した谷森駿さん(港大尋さんの別名義)とはよくお会いするそうで、谷森さんトークをしていただきました。それにしても笠村さんも夏っぽい衣装ですね。
『とおみのうた』
・ひとつ
・そして
・なまえ
・みどり
・とおみ

3曲目の「なまえ」の笠村さんのサクソフォンとの熱烈なセッションは、とても過激で印象深かった。このコンサート全体でも1・2を争うほどの名場面でしたね。


【第Ⅱ部 オペラ『月の民』ダイジェスト】

楽士様の衣装が全体的に黒く変わりました。月の民、夜の闇のイメージでしょうか。かっこいいです。

「夜の闇のすみっこから ニヤニヤ笑いながら ボクらの所業を眺めているやつが 確かにいる」

この仮面、Ⅰ部で冬木くんの衣装ペイントを描いた和田さんの作品です。
Ⅱ部に出てくる様々な仮面はすべて和田さんが手がけたそう。
ボク「どんな立派な橋だったのか?と見ようと振り返って驚いた。たったいま渡ってきたはずの橋が、跡形もなく消えてしまっていたのです。」

「支那の百科事典!探しものなら何でもわかる。ほら。見て。見て。いや ワガハイは見ないで。」

冬木くんは小道具大好き。
記事を書いている吉田、実は冬木くんと大学の同期だったのですが、当時からユニークで美的感覚が素敵な人だったよなあと、今回の小道具たちを見て思い出しておりました。

かみさん「わたしはかみさん およそとりつくしまのないと思えるくらい自由だ」

和田さんの作品。
とにかくインパクトのある仮面。

弥生「魂が肉体を求めるように 肉体が心を求めるように ひとりの男を求める気持ちが あなたには解るかしら」

これも和田さんの作品。
弥生の仮面は休憩明けからずっと舞台後ろの暗がりに(お客さんからあえて見えるように)セットされていて、不気味さと、神秘さを放っていました。

地図屋の主人「ともかくじっと眺めてごらん 物語が見えてきて やがて物語は地図を描き出すだろう」

この衣装、メキシカンポンチョだよね?と冬木くんに聞いたら「地図屋の衣装に悩んでいて色々検索していたらこれが出てきて、これだ!もう地図を着ちゃえばいいじゃん!ってアイデアになった」と言っておりました。

「お買い得だよパラドックス サフランの香りが市場の夜を すってんころりん 逆転させる」

とにかくお祭り騒ぎ。
このシーンで、後ろにあった幕が上空へと飛んでいってしまい、楽士さんの上方に吊ってあった電飾も楽しげにピカピカ光っておりました。楽士さんたちに混じって冬木くんも得意のクラリネットを奏でます。

かみさん「人間こいつはやっかいだぞ 喚くんだ 喚くんだ 嬉しいとか 悲しいとか 愛してほしいとか」

「それは不思議な光景だった 崩れながら都市は あげるべき大音響も 阿鼻叫喚も悲鳴も怒声もあげず ただ静かに崩壊していった」

上空に飛んでいた幕が、無音で、スローモーションのように落ちてくる。
それだけなのに、街の崩壊を抽象的に、とても印象深く作り上げていました。

「闇の中で世界が色とりどりに燃えていたのだ それは人たちの記憶の色彩だった」

「彼らだ!あれは〈月の民〉なんだ!ボクだ!ボクもいる。そうか、〈月の民〉はボクらなんだ!」

「ボクはひとつの物語 キミはひとつの物語 ボクとキミとで 新しいオペラが始まる」

「いつの時代からだろう 味もそっけもない まさに砂を噛むような ただの砂漠になったのは」

こうして静かにオペラが幕を閉じました。
というわけで!!とてもバラエティーに富んだコンサートでした。
当日は満席!ご来場いただきありがとうございました🙇
〜おまけ〜
スタッフの方をパシャリ📷

舞台監督の壹岐隆邦さん
舞台全般の総監督。冬木くんが「こういう舞台装置の仕掛けにしたい」とアイデアを出したら、それを具体的に作ってしまうすごい方。そして本番中も、弥生様が飛び上がっていったり、街が崩壊していったり……吊りもの表現もお手のもの。

照明の佐藤敏之さん
『月の民』の幻想的な世界観は照明なしには完成しません。その創造主。
なにより、あの月。当日ご覧になった方も印象に残ったと思いますが、あれ(少し絵は描いてあるけれど)ただのまるい板なんですよ。そのただの板に佐藤さんの照明が当たったとき、存在感を放つ煌々とした月になるのです。感動。

歌唱指導の梅村博美さん
冬木くんが『月の民』を一人で演じるときどうすれば魅力的になるか。その答えをだすためには梅さんの存在は欠かせなかったと思います。冬木くんのやりたいイメージをどのように歌唱、演技で具体性を持たせるか?たくさんのアドバイスをくださったそうです。


写真:姫田蘭


2 件のコメント:

島田宏 さんのコメント...

冬木さん、ステキなコンサートになったようですね😉
吉田さんの座日記で、ソロですが大勢の人の知恵と協力で盛り上がったことが隅々まで見えるましたよ。お疲れ様でした✨

冬木理森 さんのコメント...

お世話になっています!隅々まで見てくださり✨ありがとうございます!
本当にたくさんの方々のアイディアとお力添えで、夢が形となりました✨これからも自分なりに、歌を、音楽を、オペラを探し続けていきたいです。

まだまだ暑い夏ですので、どうかご自愛くださいね🎐