島田大翼出演!あやめ十八番第十五回公演「六英花 朽葉」(8月5日~9日):熊谷みさと

こんにゃく座ではひょう六の稽古が始まり、顔合わせのあった暑い日、行ってきました。あやめ十八番。
われらが島田大翼氏が楽士として、キャストとして、出演しているのです。


会場は、座・高円寺!
この写真は何かと言いますとですね、実はわたくし、あやめの劇場入りの日に、篤史くんと仕込みのお手伝いに伺ったのです。

ルドルフが終わったばかりだからというわけではないのですが、借りて来た猫のように、とにかくお邪魔にならないようにということばかり考えつつ、いろいろ物を運んだり、バリバリ働く大道具のお兄さま方のお仕事を目をまんまるにして見つめたりしました。

そうそう、あやめの舞台監督はあの土居歩さんなんですよ!!
って言ってわかる方はめちゃくちゃ座日記を読み込んでくれてるすごい方です、、
2010年の『想稿・銀河鉄道の夜』で舞台監督助手として来てくれていた、ご飯をたくさん食べる土居ちゃんです。
座日記を書いてくれたこともあります!
久しぶりに会えて、バリバリとしなやかに舞台監督してるのを見て、とっても嬉しくなってしまいました。


途中で島田さんもやってきて、なにやらチェックしていました


ビブラスラップを見つめる島田さんとカメラを察知してポーズとる篤史


いただいた仕上がりお写真。楽士さんの後ろから舞台を見たところです!



前置きが長くなりましたが、そうして、いってまいりました「六英花 朽葉」。

「大正ロマン」と「昭和モダン」のダブルキャストの、島田さんがたくさん喋る方「昭和モダン」を観ました。

無声映画からトーキーに時代がうつりかわるころの、活動弁士さんや楽士や監督や俳優やいろいろなひとたちのおはなし。

島田さんは無声映画に音楽をつける楽士の郡司要平という人の役でした。


楽士たちが役として存在する中で実際に演奏も全てその人たちがするというあやめの素敵スタイルです。楽しい。
島田さんは主にアコーディオンを弾いていたのですが、アコーディオンは会場前から楽士ブースに置いてあり、島田さんはフルートだけを手に持って登場したのでめちゃくちゃフルーティスト感ありました。
なのにチューニングをフルートでするや否やアコーディオンに持ち替えてそのあとずっとフルートは出てこなかったので、笛吹かんのかい!って思って面白かったです。(だいぶ先にちょっと吹いてました!印象的なシーンで!)
そしてドラムを叩いていた部分もあり、前に島田さんは座・高円寺でドラムを叩くのが夢だって話してくれたことがあったので、またひとつ、あやめで夢を叶えてもらったんだな、となんだか温かい気持ちでした。


生の話術、生演奏の価値と、録音されたもののスピード感。
時代が変わることで失われる存在と、順応して生きていくことの難しさ、苦しみ、したたかさ…
誰も悪くなくて、技術は進化していって、それは素敵なことで、でも痛みを伴うことで…
いろんな思いに掻きむしられるお話でした。

活動弁士の鍛錬された、はっきりしたよく通る声と聞き取りやすい言葉。
もちろんそれを発しているのは弁士さんではなく役者さんなのですが、活動弁士さんの技術を目の当たりにしているような、そんな気持ちになりました。
それぞれのシーンが交錯していくのはまさに堀越さんの創る舞台、という感じで、いろんなひとの物語が重なり絡み合って切なく複雑に進んでいくのがいつもほんとうにすごいなあと思います。


島田さんの言っていた「俺たちの演奏はレコードで代わりが効く」みたいな台詞にぎゅーっと心臓を掴まれて、生の舞台をお届けすることを生業としている私たち自身の存在価値は何なのか、という疑問を突きつけられたような気がしました。
聴きやすく整えられた録音をいつでも聞くことができる環境で生演奏を求める意味は何か、私たちの舞台は必要とされなくなる時が来るのか、、ずっと抱えていく不安や葛藤を、丁寧にまた心の引き出しに整えた夜でした。

私はあやめ十八番の『雑種 花月夜』を観た時から個人的にあやめの金子侑加さんと島田さんのカップルがとても好きなので、またそんな組み合わせが見られたこともとても嬉しかったです。


島田さん、あやめ十八番のみなさま、関係者のみなさま、充実した時間をありがとうございました!!

お疲れさまでした!



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