オペラ『ネズミの涙』&オペラ『おぐりとてるて』2016年10〜11月メンバー紹介

こんにちは、島田です。

今期は『ネズミの涙』『おぐりとてるて』の二演目で同時に旅しておりますので、まとめてメンバー紹介をいたします。

秋ということで、みんなにリンゴを持ってもらって写真を撮ってみました。紹介文は西田玲子さんです。それではどうぞ、ご覧ください。



太田まり
太田まり -おおたまり-
《リン(ネズミの涙)》
《照手姫(おぐりとてるて)》
こんにゃく座には『森は生きている』という作品がある。まりちゃんはその中で「むすめ」という役を演じているのだが、そのお稽古期間中に稽古がお休みの日があった。私が自分の歌を練習しようと稽古場に行くと、Aスタジオの電気がついている。物音がしないので覗いてみると、頭にぐるぐるとバスタオルを巻いたまりちゃんが。何やっているのかしらんと声をかけようとした瞬間に解った。「はっ!彼女は夜の森の中で自分の手も見えない娘の気持ちを感じようと、自分の視界を奪っているのだ!まり、恐ろしい子!」私の目はそのとき白目になっていたに違いない。



島田大翼
島田大翼 -しまだだいすけ-
《ニッケル(ネズミの涙)》
《小栗(おぐりとてるて)》
島田君は運転するときに眼鏡をかける。黒縁のキリッとした眼鏡。目がそんなに悪いわけではなく、普段は裸眼でも不自由しないため、ここぞと言うときには、サッ、とポケットから眼鏡を取り出してかけるのだが、あるとき、旅先で眼鏡が壊れてしまった。翌日は運転が控えている。 次の朝、運転席に座る島田君。あれ?眼鏡無いじゃない?運転できないじゃない。と思ったら、 目の周りがなんだかもやもやしている。なんと!何とか運転せねばと思った彼は、持っていたクリアケースを切り、壊れた眼鏡から取り出したレンズを入れてホチキスで形を整え、眼鏡を作り上げていた。側にある物を工夫して何でも作り上げる男。もし無人島に流されても島田君が居れば何とかなるに違いない。



高岡由季
高岡由季 -たかおかゆき-
《野ネズミの兵隊ほか(ネズミの涙)》
高岡さんは絶対に諦めない。先輩がギャグを言えば必ず乗っていく。
ある時、富山さんと、ラップバトルをしていた。最初は調子よく返していた。「聞かせてみなよ、お前のリリック!」など、先輩を挑発してみたり、白熱していくバトル、さすがの富山さんの返し、高岡さんは、返す言葉がどんどん短くなっていく、でも諦めない。もはや韻も何もない、相づちのような言葉になっても、それ風に返していく。
最終的に富山さんに、お前それいい加減ラップになってないよ、と指摘され終了となったが、素晴らしい戦いであった。諦めずに来た球を打ち返す、その姿は感動的ですらあった。



川中裕子
川中裕子 -かわなかゆうこ-
《野ネズミの兵隊ほか(ネズミの涙)》
《視る目とうせんほか(おぐりとてるて)》
おぐりとてるて』の舞台セットは巨大な屏風のような高さ4mほどのパネルを20枚くらいたてるのですが、 何せ大きいのでトラックからちょっとずつ出しながらたてていくのです。トラックのなかでパネルが倒れないよう一人押さえている係を、川中さんがやっていました。皆が舞台上でパネルを建てるのに夢中になっていると遠くの方から「た〜す〜け〜て〜、だ〜れ〜か〜」と、それはとてもゆったりと、のんびりした調子だったので、本当に助けてほしいのか、冗談なのかよくわからず、いっくんが「よくわからないけど、ちょっと見てきます」とトラックに向かうと、「ゆうこりんが大変です!」と大声で言うではないか!なんと、ゆうこりんはパネルが倒れて押し潰されていたのだ。そんな大変なことだったのに、なぜあのようなのんびりした言い方だったの?と聞くと、パネルがゆっくり夢のように倒れてきたのであのような言い方になったのだそうだ。ちょっとわかる。でも、本当に危ないところであったよ。



壹岐隆邦
壹岐隆邦 -いきたかくに-
《野ネズミの兵隊ほか(ネズミの涙)》
《舞台部(おぐりとてるて)》
旅中、岡山で空き日があったとき、いっくんに「いっくんはその日はどうやって過ごすつもりなの?」ときくと、「直島というアートの島があって、岡山からフェリーで行けるみたいなのでそこに行ってみようかと」なに?なに?面白そう!とあっという間に8人ほど集まって直島ツアー。電車やフェリーの時間、どこのレンタサイクルショップが良いか調べてスケジュールを組み、島に点在するっ観光スポットを教えてくれる。そのうえで、自分の観光プランを提示、一緒に回るもよし、自由に行動するもよし、と。その日、こんにゃく座員は思い思いに今まで聞いたこともなかった直島を満喫したのです。 空き日があったら聞いてみて、「いっくんはその日はどうやって過ごすつもりなの?」



北野雄一郎
北野雄一郎 -きたのゆういちろう-
《チタン(ネズミの涙)》
《小栗の家来ほか(おぐりとてるて)》
北野さんと言えば、言わずと知れたこんにゃく座きってのイケメンである。
駱駝のような可愛らしい目でくしゃくしゃと笑う、どうしたってイケメンです。
そして北野さんは優しい、さりげなく優しい。周りをよく見ていて、スーと来て手伝ってくれるのだ。ネズミの涙の小道具の瓶を漂白しようと水場に行くと北野さんもついてくる、漂白剤の注意書きを熱心に読んで、ふと見るとまだそこに北野さんがいる。「もしかして、手伝おうと思ってくれてるの?」と聞くとくしゃくしゃと笑って黙ってうなずく。なにこれ?キュンってしちゃうじゃない?そんな北野さん、愛する女性の誕生日にローストビーフを焼いてお祝いしたことがあるらしい。素敵すぎるでしょう。知れば知るほど顔も心もイケメンです。



西田玲子
西田玲子 -にしだれいこ-
《コバルト(ネズミの涙)》
《舞台部(おぐりとてるて)》
お化粧が好きである。普通の時は大体きちんとお化粧をしている。しかし、一日に何度もするのはいや。だから本番のある日は、平気ですっぴんで行く。すると、今日は西田が来てないぞ、ということになるのである。顔の作りがあまりにもシンプルなため視線が素通りしてしまうようである。
ニシダ、ならぬニセダ。ちょっぴり残念な話ではあるが、まあ、そのシンプルさゆえに化粧によって劇的な変化を遂げられるのであるから、よかったのかもしれない。今日も「夜の蛾」は羽ばたく。




彦坂仁美
彦坂仁美 -ひこさかひとみ-
《音響係(ネズミの涙)》
《千手観音ほか(おぐりとてるて)》
彦坂さんは、絶対的な支配者として君臨している。誰も逆らえない。
彼女がそのように絶対的な権力をふるうのは、こんにゃく座の水場、お茶場、冷蔵庫。お茶場の女王、お茶ー場様。
彼女のおかげで私たちはこんにゃく座で気持ちよく過ごせているのである。水場の掃除、冷蔵庫の個人の食料の管理、差し入れや、お菓子の分配まで、彼女が管理しているのだ。
稽古場のお茶場や冷蔵庫にものをおくときには必ず名前を書くこと。
じゃないと即、お茶ー場様に捨てられます。



髙野うるお
髙野うるお -たかのうるお-
《タングステン(ネズミの涙)》
《三郎ほか(おぐりとてるて)》
この前まで倉庫の一画を占領して古い車を修理していたうるおさん、それが終わって暇になったのか、花島さんの自転車の後輪がパンクしたと聞きつけて俺が修理してやろうと、部品を買ってきたもののその自転車には鍵がかかっていた。鍵は花島さんの自宅にあるらしい。鍵がかかっているとタイヤやチューブを入れることができない。万事休す。 しかしちょっとたって倉庫を覗くと箱馬など座にあるもので台を作って自転車をひっくり返して固定しタイヤ交換をするうるおさんが。なんと、鍵の保管場所を聞き出し、車で花島さんの家から取ってきたらしい。メカ好き、修理好きとかを超えた何か大きな愛を感じる。



花島春枝
花島春枝 -はなしまはるえ-
《野ネズミの兵隊ほか(ネズミの涙)》
美味しいものが大好きな花島さん。ワゴン車での旅の移動中、花島さんに話しかけると、斜め上を向いて目を閉じていた花島さん、「いま話しかけないで」と。なんだ?瞑想中か?と思ったらしばらくして「さっき食べたバターどら焼きがあまりに美味しかったから余韻に浸っていたの。あー幸せだった。で、何?」と。
味わい尽くしている。
反対に美味しくないお弁当は味わわずに飲み込む。お腹が空くから食べなくてはならない。でも美味しくないものを味わいたくない。あまり噛まずに飲み込むのだ。美味しくないお弁当はもはや飲み物。
徹底した美味しい物好きである。



富山直人
富山直人 -とみやまなおと-
《マンガン(ネズミの涙)》
《万屋の主人ほか(おぐりとてるて)》
長距離移動のトラックの中、富山さんが音楽をかけてくれる。流れてきたのは男の人が歌う東京ブギウギ。「誰ですか?すごく格好良い。」と聞くと、「そうやろ、これはな?」と、始まり、格好いいと言えば、と2016年スーパーボウルのハーフタイムショーから、ビリー・ジョエル、歌い方繋がりでサザンオールスターズ、デビュー時のプロデューサーの話からチェッカーズの初期の曲など、解説付きで次々曲をかけてくれる。国も、ジャンルもいろいろなアーティストの曲がつながっていく。運転の2時間があっという間。私のプライベートDJ。



佐藤敏之
佐藤敏之 -さとうとしゆき-
《給仕ほか(ネズミの涙)》
《後藤左衛門ほか(おぐりとてるて)》
菓子パン族である。菓子パンとコーヒー。それが彼の定番。朝だろうと昼だろうと夜だろうと関係ないんだぜ!
とにかく菓子パンとコーヒー。ほかのものを食べているところをあまり見ない。そんな食生活でどうやってあれだけの体力と気力を維持しているのか?朝だろうと、昼だろうと夜だろうと関係ない、だけど深夜は別。深夜、彼は料理して食べるのだ。もやしの味噌汁を。スーパーに行くと必ずお気に入りのもやしを買いそれで作っているらしい。菓子パンとコーヒーともやしとみそ。案外栄養バランス良かったりして?



岡原真弓
岡原真弓 -おかはらまゆみ-
《大蛇ほか(おぐりとてるて)》
岡原さん、肉感的で、魔女的。お色気ムンムンという印象であった。『フィガロの結婚』のマルチェリーナや『クラブマクベス』のヘカティーなど本当に素晴らしい。しかし私は最近彼女の透明感に夢中である。『おぐりとてるて』のエピローグの中で見せるすべてが落ちて世界が広がるような透明感。年を経るといろいろなものがついてくるように思うが、彼女は反対なのかもしれない、ドロドロ、からの透明。ちょっと素敵。



梅村博美
梅村博美 -うめむらひろみ-
《スズ(ネズミの涙)》
久しぶりの演目、お稽古はみんなで思い出しながら進めていく。しかし前回のお稽古で動きが二転三転して結局本番でどうやったのかみんなの記憶が曖昧なときに、梅さんの楽譜を見せてもらう。そこには細かく記されているのだ、前回の記録が。象形文字のように見えるのは人の位置や動きを表した棒人形たち。おおっ!そうであった!動きがまるで浮かび上がってくるよう。今回のネズミの稽古、私が完全に忘れていた去年増えたコバルトのアドリブも梅さんの楽譜に記録されていたおかげできちんと言うことが出来ました。ありがたや〜。



大石哲史
大石哲史 -おおいしさとし-
《閻魔大王ほか(おぐりとてるて)》
ある日の大石さんのお弁当、タッパーいっぱいのスパゲッティ。
「わしはこのスパゲティが世界で一番美味しいと思う、はっきり言って、断言できる。」かけたのは大根おろしとなめ茸(なめ茸の瓶の半分)そして今日は贅沢に卵の黄身。
「食べて良いよ」と言うので食べてみる。確かに美味しい。
ある日のお弁当は、大きなおにぎり。直径3㎝はあろうかというソーセージにご飯がまとわりついている。
「わしはおにぎりはこれが世界一美味しいと思う、はっきり言って、断言できる。」
新しいおにぎりのかたち。
食べてみる、すごく美味しい!
斬新な大石さんのお弁当に今日も興味津々である。



服部真理子
服部真理子 -はっとりまりこ-
《ピアノ(ネズミの涙)》
《ピアノ(おぐりとてるて)》
真理子さんはよく歩く。普通ならタクシーを使うような距離にあるホールへも、自分で道を調べて散歩がてら歩いてくる。
ピアニストというよりダンサーのような身体、身のこなし。ある舞台を見に行くと、休憩明け、2幕の始まり、彼女は上手奥から
ピアノに向かって歩いてきた。センターで止まり振り返って斜め奥に腕を上げる。愁いを含んだ視線を上げた指先に、ちょっと止まった時間を解くと下手前のピアノへ着いて何もなかったように弾き始める。ひどい、ピアニストにくぎ付けだ。



林田和之
林田和之 -はやしだかずゆき-
《サクソフォン(おぐりとてるて)》
4本のサックスを使いわけ、さらに打楽器までこなす林田さん。食べることが大好きで、釣りが好きな林田さん。サックスのスタンドにコードが絡まる可能性があると聞くとその場面だけサックス吹きながら足でスタンドをシレ〜と押さえる林田さん。楽士三人がおしゃべりしている。どうも背中で手をつなげるかと話しているらしい。ちょっと困った顔をしながら背中で手をつなごうとする楽士たち。あ、林田さん、それは、なんというか、天使の羽です!



高良久美子
高良久美子 -たからくみこ-
《打楽器(おぐりとてるて)》
高良さんのおうちには打楽器がいっぱいある。いろいろな国や場所で出会うと連れて帰ってきてしまうのだそうだ。シンバルだけでも100枚くらいあるのではないか。とにかくいっぱい。その中でその時の彼女のお気に入りはいろんな打楽器がぶら下がって一番上に茶色の木の実が入った袋が重なってぶら下げてあるところ。楽器を探しながら、そこを通るたびに優しく押す。すると木の実と下にあるものがシャラシャラと優しく鳴るのだ。いろんなものが重なった世界に一つしかない音。お気に入りはいろいろ変わるらしい。今はどんな音がお気に入りなのだろうか。



この秋は、こんな楽しいメンバーで旅してまいります。どうぞ宜しくお願いいたします。

写真:島田大翼
文章:西田玲子



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