オペラ『浮かれのひょう六機織唄』まとめ(9月10日):壹岐隆邦

1977年の初演、そして翌年の旅公演を最後にこんにゃく座では上演されなかったオペラ『浮かれのひょう六機織唄』
45年ぶりに上がった幕を、ダブルキャストで各3ステージ――全6ステージを経て無事に降ろすことができました。

短い期間のなか足を運んでくださった皆様、そしていつも応援してくださる皆様、本当にありがとうございます!

9月10日は梅組の千秋楽。
最後まで少しでも良いものをお届けできるよう、最終日でも丁寧に稽古をします。

前日にひょう六役を終えたしんちゃん(金村)も、本番前に梅組ひょう六役のだし(吉田)にアドバイス。

そしていざ本番!

本日も前売完売の満席! 最前列には子どもも座っていて、子どもの笑い声も聞こえてきて、反応いっぱいの楽しいステージになりました。
今回のオペラは言葉も難しいけれど、それでも子どもから大人まで楽しんで頂けているようで、こちらも嬉しくなります。
45年前の作品とは思えないユーモアいっぱいの台本とこだわりに溢れる作曲、最近のこんにゃく座の波とはまた違った趣の作品で、演じる側も皆楽しんだり、新しい発見があったりしました。
まだまだ気の抜けないこのご時世、1ヶ月の稽古を経て全員が無事に舞台に立てたことも、ほっとすると同時に方々に尽力くださった皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。

そんな長いようでやっぱりあっという間だった1ヶ月、今まで座日記に載せられなかった秘蔵写真とともに振り返ってみたいと思います。



今回の稽古は演出・大石さんの発案により台本を読むところから始まりました。

最初から最後までセリフで稽古して感情をつくってから、音楽による力をそれに乗せていく、という役作りは、曲がすべて完成されている中では新鮮な取り組みでした。
本稽古がはじまってからも、歌わずに台本読みに戻ることもしばしば。

顔合わせを経て、いよいよ本格的に立ち稽古が始まります。

過去の座日記でも何度か話題になっているように、今回は1幕と2幕両方に登場するのがひょう六のみ。
そして村娘や下男の登場も僅かで、稽古場にいるのはいつも少人数。
だから、たまに全員が集まると、「こんなに出演者いたんだ」と驚いていました。

衣裳部は、チーフの理恵さん(豊島)を筆頭に製作部屋やBスタジオで作業をこなしつつ

ちゃみさん(熊谷)と藍乃(小田)は村娘に変身。


演出部も、舞台監督の久寿田さん、チーフのさとおさん(佐藤)のもと舞台を組んだり、小道具を用意したり

マツユキソウのように大事に舞台袖用のライトを準備している茉奈(入江)
念願の演出部デビューおめでとう!

こちらも、まどかさん(沖)と茉奈は村娘で舞台へ。
それでおしまいかと思いきや、3人は更に変身。

こんな登場人物いたかな? とお思いでしょう。
3人は、2幕の舞台転換のために着替え、薄暗いなか他の役者たちに紛れてセットを動かしていたのでした。レアキャラ!

もうひとり、裏方を兼ねていた村娘のゆず(小林)は、音楽助手として舞台を見守りつつ、方々への連絡や楽譜の訂正など、やっぱりいちばん忙しい人に。

誰一人欠けても成り立たないくらいの、出演もこなしながらの裏方仕事、本当にありがとうございました!

ちなみにこの5人とメインキャストでないときの出演者3人による村娘は、皆の内で"村ガール"と呼ばれ、ひょう六に群がったり、
ピアニスト入川さんに群がったり、
劇場で洗濯の終わった衣裳に群がったりしていました。

和装で桶を持って登場。草履でピアノを弾いた梅組ピアニストの入川舜さん
1幕の終わり、聞いたことのない大声でひょう六を応援した松組ピアニストの服部真理子さん

対照的な2人の演奏、本番では完全に組が分かれていたけれど、稽古ではどちらの演奏も経験し、新たな解釈や発見に繋がることもありました。
稽古場でのアドバイス、そしてただでさえ難しいピアノなのに役者の息に完璧にあわせてくれての素敵な演奏、本当にありがとうございました!



稽古場では、公演までのカウントダウン動画の撮影もありました。

こんにゃく座のInstagramTikTokで見られるので、まだ見てないよ~って方は是非ご覧ください♪

稽古の合間はしっかり休憩。
みんなの休憩の様子を見てみましょう。
休憩中もみんな和装なので、
蕎麦や、
団子が似合います。

ある日には裕加さんが家でところてんを作って持ってきてくれたりもしました。

こちらは最後の"ニンジン"を取り合っている、うるおさん(髙野)としんちゃん
……ではなくて、
演技の段取りを確認していたのでした。

茂さん(武田)は縁側でお昼寝中

しんちゃんも布団でぐっすり

お疲れのさとおさんを労うしんちゃん

そのしんちゃんも、同期のゆうこりん(川中)のマッサージを受けて身体の調整

そうそう、今回の公演には2010年入座の同期4人が全員出演していたのです
今まで3人まで一緒は何度かあったけど、全員一緒ははじめて!
それだけでなんだか安心感があって、とても心強かったです。



こちらも休憩中の一コマ
梅組お母ぁ役の花さん(花島)が手にしているスマホに映っているのは……
ひょう六の幼少期の写真!
役作りのために、写真を送ってもらって、待ち受けにしていたのでした。
すごい愛を感じます。
本番前に髪を結うのもお母ぁ

花さんの愛はもう一人のひょう六へも♪
髪を整えるお母ぁ

しんちゃんひょう六の本当のお母ぁの彦さん(彦坂)は
着替えのお手伝い
襖の向こうの舞台裏、早着替えはこんなふうに行われていました。
さとおさんはまるで、お父ぉみたいですね。

こちらは1幕最後の舞台裏
転換のために下男が待ち構えています。

気になるお糸の部屋の裏は、
こうなっていました。

床下から登場するひょう六さん
穴の下までは、このように入っていたのでした



今回の演目は、殆どの役者が舞台上にいるよりも待機している時間が多いという、こんにゃく座では珍しい作品でした。
出番を待っている役者たちで、花道へと通じる袖は観劇・応援するギャラリーの人気スポットに

反対側の花道も……
今回、客演で出演したバジさんこと佐山陽規さんは、初演時のひょう六役を務めていました
毎公演必ず舞台袖で本番を見守り、懐かしさも相俟ってかときおり涙を流しているのが印象的でした。

庄屋の歌で「女をたらすにゃ、おぼえがある」というセリフがあるのですが、
46年前の初演とリンクしているようで、個人的に面白くて感慨深くて忘れられないセリフです。



楽屋の待機組はというと、
お縫さんがお糸さんを着付けていると思ったら、
両組のお縫さん、お糸さんどうしで帯締め

剣心の手を取っているのは、和装の薫殿(飯野)
薫は楽屋で、エアモニ(楽屋に本番の音声を流すモニター)から聞こえるかすけの「待っとれ!」というセリフに合わせて「待っとれ!」と言うゲームを楽しんでいたようです。
他の演目でも毎回、独自の楽しみを見出す才能を持っていて楽しいです。

一方、男性陣は、
着替えも済んで余裕の待ち構え
何度も言いますが、こんにゃく座では珍しい光景です。



ずっと長い間上演されてこなかった珍しい作品ですが、半世紀近く経ったいま皆の力で甦らせて、こうして多くのお客様にご覧いただけて、ほんとうに嬉しい限りです。
たったの6回公演だなんてもったいない!
また埋もれてしまわないよう、今度はきっと近いうちに再演できることを願っています。

歌うのも聴くのもとても楽しい公演でした!
ありがとうございました!!

[写真:出演者一同]

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