林光歌劇場 劇場日誌(2月8日):鈴木あかね

関東地方は朝から雪…。

予報では20年来の大雪になるということで警戒していたが、午前中は思ったほどでもなく、皆順調に劇場入り。13時開演の『吾輩は猫である』の準備が着々と進んでいく。

午後になっても雪の勢いはまったく衰えず、劇場の前の道にもみるみるうちに積もっていく。お足元の悪い中、次々とお客様が来てくださる。ありがたい限りだ。

15:45『吾輩は猫である』終演。息つく間もなく、16時からは夜の『コンサートA』のリハーサル。楽士の皆さんも大雪の中駆けつけてくださり、全員揃って無事に始めることができた。

分刻みのリハーサルをバタバタと終え、19時、『コンサートA』開演。前半はソングを何曲かと、光さんの珠玉の器楽曲が次々に演奏され、俳優座劇場が極上のコンサート空間になっていく。

後半はピアノソロの後、座員全員による、『ザ・合唱曲』。これからも歌い継いでいきたい光さんの合唱曲を、10曲ほど聞いていただいた。

私のことで恐縮だが、お客様を見つめて『ものがたり』を歌い出した瞬間、熱いものがこみ上げ、涙が止まらなくなってしまった。「長い、暖かな10年…」という歌詞が、これでもかと胸に響く。練習している時は泣かなかったのに、本番というものは、やはり特別なものなのだなと、あらためて感じた。さぞ情けない顔をして歌っていただろうと思う。

その後も何度も泣きそうになりながらも、無事に最後まで歌い切ることができた。私にとっては本当に約10年ぶりの、こんにゃく座の本公演の舞台であった。

お客様の顔を見ながら、最後の『ポラーノの広場のうた』を、楽士さんたちと一緒に大団円。その暖かな旋律に、会場全体がひとつになる。光さんもどこかで、口ずさんでいたに違いない。

終わってみれば、東京は45年ぶりの大雪だったそうで、このひどい天候の中、来てくださったお客様、本当にありがとうございました。そして、ご来場いただけなかったお客様、とても残念ではありましたが、きっとまたお会いできる日を楽しみに待っております。

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