オペラ『おぐりとてるて』稽古場日誌(9月1日):西田玲子

演出助手の西田です。

毎日、前から稽古を見てお話が進んでいくのを見ている私が、『おぐりとてるて』の中でおきにいりの登場人物。それは照手が常陸子萩とよばれて働く万屋の主人夫婦。

遊女にはならないという照手に腹を立て、それまで下働き、水仕事をしていた者16人に暇をだし、そのすべての仕事を照手に押し付けるという、このお話の中ではまあ悪者。
それを演じるのは、富山さんと岡原さん。うん、悪者感満載。
でも演じているところを見ると、どうもこの夫婦、とっても仲睦まじくて、二人で仲良くお酒飲んでたり、照手が餓鬼阿弥の車を引きたいから三日の休みをくれと頼むと、情にほだされて五日の休みをくれたりする。
今回は描かれていないけど、復活した小栗から相当の褒美をいただいたという説もあり、
このお話の中で一番幸せなのはこの二人ではないかと思ったりします。

しかも微笑ましいのは、舞台装置の高い場所で二人で歌うとき。
高いのにそんなに余裕のある広さではないのでやっぱりちょっと怖い。
演出家が「大丈夫?」と聞くと、岡原さんは「富山さんにつかまっているので大丈夫です。」と。
こんなところでも支えあっているのです。
ちょっと悪いこと歌っていてもそんな二人は可愛らしくて、
なんだか嬉しい気持ちになったりします。

本番では変わっているかもしれないけど。
悪者なんだけど憎めないこの二人、好き。

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