オペラ『末摘花』劇場日誌(9月11日):熊谷みさと

みなさまこんにちは。
オペラ『末摘花』で衣裳部をやっております、熊谷みさとです。ちゃみです。


今回の衣裳部は、衣裳部というより床山部というべきか、毎日みなさんの御髪にかける時間がまあたいそうなものです。
髪が命の時代ですし、源氏の君は末摘花の髪に惚れたそうですから、大事ですよね、髪…
『おぐりとてるて』の衣裳部でカツラと格闘した経験が無かったらきっと毎日大泣きしていたと思いますが、その日々を経て末摘花のウルトラスーパーロングを愛でる今、あんなにヒーヒー言ってた『おぐりとてるて』で使うスーパーロングが可愛いものに見えるようになりました。

こんな長い髪で、袴も着物も引きずったスタイルが日常だなんて、身の回りのことは全て下々の者が世話をして、本当に何一つ自分ではやれなかったんだろうなあ…Tシャツ1枚で軽々と動き回れる今を生きられてラッキー!と毎日思います…まあ当時生まれていても庶民だろうから軽装でしょうけどね!

さて、毎朝カツラを整え、衣裳にアイロンをかけたり破れを直したりして、みんなの着替えをやいやい言いながら見守ったのち、本番中の私は大体下手(しもて…客席から舞台に向かって左)側の舞台袖で、姫の長袴のお世話をしたり、長い掛け着のお世話をしたり、御髪のお世話をしたりしています。

毎度のことながら、舞台袖では役者の素(す)と舞台上の物語の狭間に裏方の仕事や楽しみも入り混じり、不思議な光景が繰り広げられます。




紫組の姫と少将。落ち着いて出番を待っていますね


…と思いきや、少将が出て行った途端、姫は脚を上げてトレーニングを始めました。



少将が出て行った後には、スリッパの足跡が…掛けに引っかかっていつもこうなります。着物につれられて舞台上にスリッパが出現してしまわないようにとても注意が必要です。





舞台上で繰り広げられる物語とリンクしてポーズを取ったり、謎の動きを披露しているのは、今回の衣裳部の相棒、あかねさんです。
これまで衣裳部をやったことがなかったというあかねさん、着物好きで時々素敵な和装姿を見るから、という理由で今回指名させていただきました。大先輩でもあるあかねさんは、私のような小娘(という歳でももはやないけれど)に、その縫い方は違う、その結びはなっていない、洗濯はこうしろなどと必要以上に小言を言われても、嫌な顔一つせずに丁寧にお仕事をしてくださいました。そしてみんなの着付けをしっかりみてくれて、カツラのこともどんどん研究してくれて、とっても助けられました。
そして舞台袖でもこの謎のサービス精神。見習っていきたいです。



と、言っている間に凄い勢いで袖に駆け込んできて黒い箱に項垂れるのは光組の宰相さん。
どれだけのパワーを爆発させているかこの光景をみただけでも伝わってくるようです…決してこの黒い箱が愛おしくて堪らないというわけではないのです…



あちらに横たわっているのは演出部のボス、北野さん

ずっと働き詰めですからね、ちょっとした隙間時間に横たわれる大事なスペース…おやすみください…


という間も無く演出部相棒の泉と共にお仕事お仕事!

演出部にも物を作ったり動かしたりという以外にもいろいろなお仕事があるのです。



楽屋では、一足先に出番を終えた右近と左近が反省会をしていました。


オペラ『末摘花』、残すところあと2日です。 みんな健康で、やり遂げられますように!


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