ピノッキオ日記最終便:萩京子

2007年5月31日(木)

朝7時ロビー集合。
昨晩は、ピノッキオ全13ステージの打ち上げだったので、飲み過ぎの人が、よれよれになって、ロビーに現われる。
車で30分ぐらいで、ビエンチャンの空港に着く。なんと人の少ないこと。チェックインのところには私たちしかいない。貸し切り?

大使館の小野寺さんと西村さんとお別れし、飛行機に乗るまでのぼんやりとした時間を過ごす。
二日酔いや睡眠不足で、ベンチに横になっている人、買い物をしている人など。
そういえば、二日酔いでしばしベンチに倒れていた岡原真弓が、むっくり起き上がり、買い物に燃えていました!

さて、ラオスからまたタイのバンコクへ。
ラオスからは日本への直行便がないため、バンコクに飛び、一泊して日本に帰る、という計画である。
5月31日は、タイでは仏教の行事の関係で一年に一度の禁酒デーだそうで、私たちの唯一のお休みの日が禁酒デーとは!と嘆いていたのだった。
おまけに、昨日(5月30日)、憲法裁判所の判断で政党解散、という大変な事態になって、大きな政治集会が行なわれるかもしれない、というので、王宮前広場には近づかないように、というお達しが出た。
タイは一見平和そうに見えるが、軍部が強く、政情には緊張感がある。ベトナムからタイに降り立ったときは、落ち着いた感じがしたのだが、静かなるラオスからタイに着くと、ものすごく都会だな、と感じた。

舞台の道具は、空港のバッゲージに預け、個人の荷物だけ持ってホテルへ向かう。
チンダーさん運転のバンが迎えに来てくれた。
舞台衣裳の洗濯。ズボンはクリーニングに。上に着るシャツは各部屋に備えつけられている洗濯機で洗う。
私たちが泊まるホテルは滞在型なので、キッチンと洗濯機が備え付けられているのがありがたい。
各自も、日本に帰ってから洗濯しなくてすむように、せっせと自分のものを洗うのだった。

近くのスーパーの地下のフードコートで簡単にお昼を食べてから、買い物ツアーに出かける。
この間、岡原真弓という人は、帰国後の『まげもん』に備えて、お部屋でお勉強。(二日酔いも残っていたしね!)
夕方ホテルに戻り、夕食は、基金の内田さんがタイすき(タイ風すきやき)をご馳走してくださった。
内田さんは、今回のツアーの仕掛け人である。
小さな編成で、タイの地方をまわろう。というのが、このツアーの起こりだったのである。
チェンマイで公演するコースも考えられていたが、タイ東北を車で北上し、ラオスまで行く、というコースに私たちは飛びついた。車で旅をするのが、こんにゃく座の原点だから。ラオスまで行くことができてよかった。

マレーシア、インドネシア、ベトナム、と、各国であたたかく迎えてもらい、公演も好評で…、ほんとうにうれしい打ち上げ。
そうそう、この企画だったので新作『ピノッキオ』をつくることができたのである。たった4人の出演者で、荷物も少なく……。

禁酒デーではあったが、店ではビールを出してもらえた。なんというありがたさ!
夕食の帰りに、パッポンという繁華街に出て、夜店で買い物。
今日は禁酒デーのため、幾分静かだというが、眠らない街、という感じ。
ゴーゴー・バー(懐かしい言葉!)がひしめいている。仕上げにタイ古式マッサージ二時間コース。バンコクの夜を堪能しました。


6月1日(金)

バンコク最後の日。
フライトは夜の22時半なので、一日たっぷり遊べるのである。が、体力温存しなくては、という気持ちがある。
日本に帰ってからの現実が、急に迫ってくる。『ピノッキオ』の歌役者たちは、帰国したら皆『まげもん』チームである。すぐに稽古が始まる。
すでに、ピノッキオ組以外のメンバーは稽古を始めている。
岡原真弓はこれまで「お春」を演じてきたが、今回「お絹」をやる。初役である。「お絹」はソプラノの役だったのだが、岡原のためにメロディーも書き換えた。こんにゃく座では、よくあること。
岡原は語学地獄が去った今、イヤホン聴きながら「お絹」の音と格闘している。

山崎、田中、萩は、11時すぎに、基金の事務所にご挨拶に行った。無事、タイ東北公演とラオス公演を終えて帰ってきたことを吉川所長に報告。お世話になったドアンチャイさんとラワンさんへのラオスのお土産を託した。
事務所を後にして、一階に降りてきたら、ラワンさんと会えてびっくり!ラワンさんは、ホテルに私たちを訪ねてくださったのだが、私たちがいなかったので、事務所の方に来たところ、私たちと会えたというわけ。(事務所とホテルは徒歩5分くらいの距離である。)
ラワンさんからみんなへのおみやげをもらった。ロボット、ゴーシュ、そしてピノッキオと、ずっと通訳していただいているラワンさん。今回、旅を共にして、一層親しくなれた気がする。

さて、ラワンさんと別れて、田中さとみは伊勢丹へ。山崎、萩はチャトチャック公園のウィークエンド・マーケットへ。なんだかんだといいながら、まだ買い物しようという根性である。
市場はとっても広い。
暑くて目が回りそうである。
今日は金曜日なので、まだ静かで、準備中のところが多かったが、人が少ないのはよいことで、開いている店では、落ち着いて買い物できた。
ホテルのチェックアウトは15時。
ぎりぎりにホテルに戻って、大慌てで荷造りする。チェックアウトをすませても、出発までまだ時間がある。18時半にホテルを出て空港へ向かうのである。

お昼も食べずに買い物していたので、昨日と同じスーパーの地下のフードコートで食事。
井村くんは昨日も今日も、「ラーメン」と日本語ののれんがかかっている店で、チャーハンとギョーザかなにか食べていた。
私はトムヤム麺と言うものを食した。100円くらいで食べられる。
そして、出発までの時間、井村、田中、山崎、萩、というメンバーで、最後のマッサージへ!
この休日の過ごし方をどうするか、というとき、タイが初めてのさとみちゃんに、エメラルド寺院とか行きたくない?と聞いても、あまり行きたくなさそうなのだ。さとみは大仏が大嫌い。そして仏像というもの全般、あまり好きでなさそうであった。だからお寺に行く気になれないみたい。
タイでの休日は、結局観光はせず、買い物とマッサージでした。

18時半、ホテルに集合して、空港へ出発。
すごい渋滞で、いろいろな街並みをゆっくり車窓から眺めることができた。無事、空港に到着。預け荷物…ドンゴロスやトランク…を受け取り、その中に、お土産を詰め込む。
内田さんとのお別れはちょっと切なかった。
ほんとうに旅は出会いと別れの連続だなあ、と思う。
さて、チェックインした後、夕食を、ということになった。このツアーではじめてのメインメンバー7人での食事。空港内でのちょっとおしゃれなレストランでタイ料理の食べおさめ。食べた!食べた!

22時25分発、JL718便で日本へ向かう。
途中すごく揺れて目が覚めた。そもそもぐうぐう眠っていたのは私だけかな?眠れなかった人もいたようだ。
日本時間の朝5時、私の時計はまだ3時だったが、「みなさまおはようございます!」という有無を言わさぬさわやかな声で起こされる。そしておかゆの朝ご飯が配られる。3時だよ!3時!
と言いたいが、時差は2時間、もう5時なのであって、6時半には着陸。

成田には、土居麦運転のハイエースが迎えに来てくれていた。
忠地あずみ、田上ナナ子も一緒に。早起きして、来てくれたんだね。
ありがとう!無事、帰ってきました。

この『ピノッキオ』アジアツアーで得たものを、これからどう生かしていくか。たくさん、考えなくてはいけません。でも、ひとまず、お疲れ様、です!
この長い長い報告を読んでくださったみなさま、ありがとうございました。

萩京子

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