オペラ『まげもん』劇場日誌(5月10日):岡原真弓

まげもん1010シアター公演、無事終了しました。
冒頭で歌う『どうせ、ひと夜の夢だっせ』に相応しく、物凄い夢が展開しました。まがいもんとは、なんの事なのでしょう?たとえ自分がまがいもんであったとしても、何かに一生懸命がんばれば、嘘が誠になるのではないでしょうか?なあんて、大笑いして、大泣きした後に、しみじみ思いました。

劇場には5月8日から入って、仕込みをしたその夜には場当たりを始めました。普通、場当たりというのは位置の確認やら、照明の当たり具合の確認やらの事なのですが、鄭さんの場合、ここでも稽古が展開されます。
9日は朝から場当たりの続きをやり、振り付けの稽古をやり、殺陣の稽古、そして夜はゲネプロ。

私はこのゲネプロを見に行ったわけですが、始まるまでに役者たちはすっかり疲れていました。しかし、いざゲネプロがはじまると、はじめっからぶっ飛ばしで物凄いエネルギッシュに元気に楽しそうに歌い躍り飛びはね叫びます。終わってからも、お茶場で退館時間ギリギリまで鄭さんは駄目だしをします。また、この駄目だしが、凄く笑えるのです。鄭さんはキツイ事もはっきり言うのですが、絶対に笑かすことも忘れません。だから、役者たちも汗だくでぐったりしているのに、大笑いして明るいのです。

そんな2日間を経て、10日いよいよ本番の日。この日はツーステージあるので、さすがに朝は稽古しないだろうと思っていたら、いえ、実はわかっていました、当然朝から開場時間ギリギリまで稽古していました。

さぞや本番は疲れはてているだろう、いいえ、これもわかっていました、役者たちはお客様の視線をあびるやいなや、ぐぐーーーーーんと元気を取り戻し、素晴らしい初日の幕をあけました。

そしてワンステージが終わった後。

これも予想通り演出家は駄目だししておられました。

もはや、役者たちは鄭さん中毒で頭がメロメロになっている状態で、ツーステージ目。力む力も無くなって、しかし鍛え上げた『笑わせる』『泣かせる』を確実にはめ込み、開場は爆笑と鼻水をすする音に溢れました。

最後のお客様の盛り上がりには、開場で聞いていた出演していない座員たちを号泣させました。

鄭さんの作品の人間に対しての強さと温かさ、そして萩さんの音楽とのタッグの強さをあらためて感じることのできる素晴らしい公演でした。

そして、それを共に作り上げてくださったお客様!ありがとうございました。

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