
みなさまへの感謝を込めて、千秋楽までの日々を写真で振り返ってみたいと思います。
7月末の音楽稽古から始まった『魔法の笛』の日々。
稽古が始まるや否や、7月31日にはなんと稽古場に装置を組んでしまいました。

舞台監督の八木さんから軽く説明があったのち

楽屋部は布を切ったり縫ったりして

仮のカーテン作り。

力持ちは装置を組み立て

あっという間に…

できた!

「♪雲の隙間から~」ってそれ洗濯物じゃないよリン…じゃなくてパパゲーナ
こんな風にして組み上がった装置で、8月はとにかく毎日お稽古お稽古!

パパゲーノはパパゲーナと格闘し

夜の女王は消臭剤を武器に現れ

やがてその武器は水鉄砲に進化を遂げます。

奴隷たちは宙釣りになり

振付のうんさんと共に蜘蛛の巣を研究。
この奴隷たちの鎖で

事件が起きたり

こちらの女王はちょっと違った「女王様」に変身したり。

幕裏には怪しげな黒覆面が現れたり

わらび舞妓ちゃんや

釣り人がやってきたことも。

夜の女王の侍女や

少年たちや、たくさんのチームで取り合いになった稽古場。

追われた僧侶たちはお茶場で稽古したりもしました。

倉庫では演出部が小道具やかぶり物を作り

楽屋では衣裳部とお手伝いの出演者が衣裳やカツラを作り
そうこうしているうちにカーテンは本物になり、後ろに設置される可動式の台も出現し、あっという間に劇場入りの日がやってきます。

みんなで力を合わせて仕込み!

裕加さんは色ぬり。

理恵さんはトラック番。


楽屋ではなんと、演出の加藤さんと振付のうんさんが動物たちに命を吹き込んでくださっていました。

そして舞台も…

できた!
この演目は、メイクや衣裳がいつもに増して特徴的で、「○○みたい!」という言葉が飛び交った日々でした。

すみれ(石田純一の娘)に似てる!と騒がれる中、演出家には「すみれより小林の方がずっと良い!!」と可愛がられた本公演デビューのゆず子さん

『火花』を持たせたら誰よりも似合うだろうモノスタトスさん

メイクをするとどうも何かの虫に見えてしまうこの方の

触角…じゃなかった、眉毛のぬり絵が流行ったり

自身を「マユミデラックス」と名付けたこの方は例によって他人の衣裳に大変興味を示し

恐ろしメイクのまま羽根を生やしたり

可愛いワンピースを無理やり着たりしていました。

ある日、からかさ小僧が現れて

妖怪が増殖

劇画調の2ショットがあったり

アヌビスがラッパを吹いたりもしました。
そうそう、この『魔法の笛』、ピアノは寺嶋陸也さん、バイオリンは山田百子さんと手島志保さんが交替で、フルートは姫田大さん、クラリネットは橋爪恵一さん…と、なんとも豪華な楽士さまの強力な音楽布陣だったわけですが、

「シカネーダー楽団」と呼ばれる(と知ったのは「おぺら小屋」を読んでからですが)、座員による楽団も結成されておりました。

舞台袖で金管楽器を吹く人々

中学時代の部長の血が騒いだ人に

ジャケットプレイのイケメンも。
表に裏に、みんなで力を合わせた公演でした。

長老として立派な歌声を披露し、稽古では代役のザラストロでびっくりするほど見事な低音を豊かに響かせていたテノール歌手の茂さんも、ある場面では鹿使いのおじいちゃんになったり。

毎日支え合い高め合い、強大なソロ曲の重圧に見事打ち勝ったAB型の女王様方

毎日慰め合い励まし合い、実在した天才を見事に表現した兄弟のようなモーツァルトさんたち

可愛さと色気と戯けの絶妙なバランスでお婆ちゃんから魅力的な少女に見事変身したパパゲーナたちに

いつだって自分というものを失わず決然と独自路線を貫くタミーノたち。
一部分ダブルキャストというのはなかなか大変なことも多かったと思いますが、悩みを共有できる人がいることは、きっと大きな力になったはずです。
チームとして存在した人々も然り。

カラフルでボリューミーな衣裳にド派手なメイクで子供のみならず大人をも絶句させたエロスな侍女たち

美しい音楽に心奪われトライアングルに捕らえられ朝から晩まで隙あらば稽古した子供のような大人の少年たち

面白さと恐ろしさ、軽やかさと重厚さを併せ持った、通常では考えられない豪華な面々の奴隷・僧侶たち
チームで何かを作るというのは、もどかしくも楽しいことで、一人ではたどり着けないところにひょいと飛んでいけたりして、なんとも面白いものが生まれていました。
原作の『魔笛』には登場しない、シカネーダー、シカネーダーの妻、シカネーダーの弟も、チームと言えるかは謎ですが不思議な3人組で、モーツァルト役同様、こんにゃく座の『魔法の笛』ならではの魅力的な存在です。その3人組が劇中で演じたのが、

紅いお鼻が特徴的で、剽軽で親しみを感じる動作のなんとも言えない可愛らしさが人気だったパパゲーノに

以前演じていた凛々しいタミーノから、可憐な少女へと見事変貌を遂げたパミーナ、

厳格な「シカネーダーの弟」が演じる小者感がどうしようもなく可笑しかったモノスタトスでした。

そして、ゲストとしてザラストロを演じたのは、こんにゃく座創立メンバーであった多田羅さん
劇場中に響き渡る声量と、今のこんにゃく座とはまた違った角度からの「言葉」へのアプローチは、色々なことを考える機会を与えてくださいました。
今回の『魔法の笛』は、24人の出演者と5人の楽士さんで、11日間の公演をお届けしました。
こんなにたくさんの出演者が快適に長い公演をやり切れたのは、裏方として力の限り支えてくれたひとたちのおかげです。

舞台監督の八木さんの背中が、それを物語っているような気がしました。
演出部に衣裳部、制作も、それぞれの仕事をやり切って、本当にみんなで力を合わせて創った舞台でした。
こんにゃく座3回目の『魔法の笛』本公演を、満員のお客さまに観ていただけたことは、私たちみんなへの何よりのご褒美です。
千秋楽では、トリプルコールを終えても拍手が鳴り止まず、なんと終曲をもう一度歌わせていただくという驚きの出来事もありました。
あんなにも拍手を送り続けてくださったお客さまに、たくさんのありがとうをお返ししたいです。そしてその思いに少しでも応えていけるように、もっともっと魅力的な作品を創っていきたい!と決意を新たにして、2015年の歌芝居『魔法の笛』は幕を閉じました。
『魔法の笛』に関わってくださった方々、応援してくださった方々、そして会場に足を運んでくださった方々に、深く感謝します。

ありがとうございました!!

写真:姫田蘭さま、こんにゃく座員
文章:熊谷みさと
おまけ

モーツァルト太田まりさんの熱い想いが届いて、なんと高畑勲監督も観劇に来てくださいました!
[更なるおまけ]
沖さんが熊谷の盗撮写真を山ほど送ってきたので、コマ送り的にご覧ください


0 件のコメント:
コメントを投稿