ピノッキオ旅日記 in インド!(10月9日):萩京子

10月9日(火)

 朝8時、ホテル出発。チェンナイ州立博物館劇場へ向かう。博物館や美術館がある敷地内の一角に円形の建物がある。それが劇場だ。木々に囲まれた気持ちのよい場所。劇場は100年くらい前の建物だそうだが、たいへん歴史を感じさせる。建物のまわりには大砲が設置されていてドキリとする。客席は558席、三方から舞台を囲むようになっている。すでにピアノが搬入されていた。ヤマハのC2。デリーでのピアノと同じタイプだ。インド公演はピアノの手配が可能なところで、という一応の条件のもと、ヤマハの協力を得て実現にいたっている。デリーは基金所有のピアノ。コルカタは音楽学校のピアノ。そしてチェンナイとプネはヤマハからのレンタルピアノ、ということになる。ピアノは良い状態のようで、ホッとする。外国公演の場合はピアノの心配が大きい。デリーから調律師のプラブーさんが来てくれる。日本で訓練を受けたことがある調律師さんだ。
 チェンナイ公演の台詞をどうするか、という方針がチェンナイに到着してから、ワークショップも終了してから決まる。歌は日本語、台詞は日本語と英語とヒンディー語とさらに一部分タミール語でやることに決定。タミール語はヒンディー語とはまったく構造が違うという。むしろ日本語と同じ構造だということだ。文字もヒンディーの文字とは違う。文字は音を表していて、247種類あるとお聞きした。発音はとても難しい。。。
 ヒンディー語でやることにしていた台詞約100センテンスのうち40くらいをタミール語にすることとなった。昨日のワークショップの時にお世話になった通訳のマヒンドラさんとプラタップさんにお願いして、タミール語を教えてもらう。当日覚えて当日本番というのはなかなかのスリルがある。でも、現地のことばで台詞を言うとお客様はとても喜んでくださるので、役者諸氏ははりきっている。
 舞台の間口が少し狭いので、動きにも工夫を加えないといけない。2時から冒頭から全部のシーンをとめながら稽古する。5時過ぎまでかかった。それが終わると劇場の入り口で記念撮影。




 6時半開場。2時間かけてバスでやってきた中学生の一団が来た。お客様は続々とやってくる。当初の予想を大幅に上回って400人以上のお客様が入場。場内は熱気がムンムンしている。



 7時開演。開演直前、基金の山村さんが英語で、通訳のマヒンドラさんがタミール語で前説。こんにゃく座のみなさんがタミール語でセリフをいうところがありますから、注目してください、というようなことを言ってくれる。4カ国語公演に挑戦だ。私は客席の上手の端の方で見ていたので、観客の表情がよく見え、舞台に集中してくれているのがよくわかった。いろいろな場面で、笑ったり、拍手したり、歓声をあげたりしてくれる。ひとつの場面が終わると拍手をしてくれる。
 さて良いことばかり報告しているようだが、ひとつなかなか強烈なインド公演の事実をご報告。インドでは、どうも携帯電話のスイッチを切る、とか、写真は撮ってはいけない、というようなことは、いくらアナウンスしてもダメなようだ。せめてフラッシュはたかないでほしいのだが、良い場面で確実にパシャッとくる。ムービーで撮っている人もいる。そして携帯の着信音。これがまた、インドの伝統音楽のようなものだったり、きれいな鳥の鳴き声やらヴァラエティーに富んでいるのである。。。記録撮影の姫田蘭さんは怒り狂って体調がますます悪くなる。
 だが、そういうことを別とすれば、観客の反応はすばらしい。こちらの表現への工夫や努力を理解し楽しんでくれ、賞讃の拍手をおくってくれる。
 終演後、お見送り。ロビーというものはなくて、劇場の扉を開けるといきなり外の回廊になる。そこで出演者はお客様にもみくちゃになりながら、写真を撮られたり、会話したり、などコミュニケーションに励む。2時間かけてバスに乗ってやってきた中学生たち、とてもキラキラした目で、すばらしかった!と言ってくれる。握手、握手。報道関係の取材もあった。



 そしてバラシ。少しずつ早くやれるようになってきた。ホテルに戻り、ホテルのレストランで乾杯。お酒はダメだとあきらめていたのだが、OKだったので大感激。

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